海外セレブの間では「アスレジャー というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
スポーツジムやヨガスタジオで着用するような、ボディラインがくっきり出るファッションを着用する「アスレジャー」スタイルが世界的に流行となっている。日本でも外国人観光客の出で立ちとして見かけることが増えているが、身近な流行ファッションとしては受け入れにくいという意見が多いようだ。臨床心理士の岡村美奈さんが、「アスレジャー」に対する否定的な反応について分析した。
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“アスレジャー”というスタイルが世界的に流行しているらしい。「アスレチック(運動競技)」と「レジャー(余暇)」を掛け合わせた言葉で、スポーツウェアを日常使いしたファッションジャンル。これが近年のトレンドで、市場は急成長しているという。
言われてみれば昨年あたりから都内では時々、そんな恰好の人たちを見かけるようになってきた。といっても、着ているのはほとんどが外国人。スポーツブラをトップス代わりに着用していたり、ぴったりしたヨガパンツやお尻の形が丸見えのレギンスを履いて街中を歩いている。NEWSポストセブンの「《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の”アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本ではそうでない〉」には、外国人観光客の間ではアスレジャーで出かけないよう注意喚起されていると書かれている。
ニューヨークやロサンゼルスで流行しているスタイルは、日本でも感度の高い人々の間で支持され始めているようだが、ネット上には賛否両論飛び交っている。ではアスレジャーを受け入れがたいと思わせる理由は何なのか。1つは誰もが思うTPOの問題だ。その場にふさわしいかふさわしくないか、日本という国の社会や文化の中で人々に受け入れられる適切なファッションか否かである。真夏になる度に話題になる、露出の高い服を着た女性たちには危機感が乏しいとか、職場では男性が目のやり場に困るため服装を考えようというのも似たようなものだろう。
たとえば2023年6月に、女優・広瀬すずさんがアスレジャースタイルで都内の会員制ピラティスルームに向かう姿が報じられ、話題になった。紫色のレギンスを履き路上を歩く彼女の写真が出ていたが、この姿に不適切さを感じた人はいないだろう。街中を闊歩しているのでも、公式の場にその姿で出席したのでもない。公共の場とはいえ、それは彼女がフィットネスに行くためのファッションだったからだ。
