この形態の店はもう限界なんです
2010年代からは毎年のように摘発劇が続き、2017年10月には上野のハプニングバー「私のハーモニカ」が摘発。2019年10月には東京・多摩市の老舗ハプニングバー「リアリティー」が摘発された。
「東京五輪前の浄化作戦の一環だったと言われています」(風俗誌ライター)
だが、東京五輪も終わり、重大な国際イベントが控えているわけでもないこのタイミングで、なぜ「眠れる森の美女」は摘発されたのか。ハプニングバーに精通する男性は分析する。
「実はコロナ禍でハプニングバーの利用客が増えているんです。人との接触が激減したこともあって、マッチングアプリやパパ活などに走る人が増えるのと同じ流れで、出会いを求めてハプニングバーに参入する若い人たちが急増している。加えて最近はYouTuberが店の潜入動画をアップしたりしていて、目立っていた部分も否めない。そうした実態を警察が掴み、今回の摘発に繋がったのではないか」
かつて「眠れる森の美女」の常連だったという女縄師の狩野千秋氏は、今回の摘発にため息を漏らす。
「オープン当初からお客さんを縛るイベントによく参加していました。ヨガインストラクターの軟体女性をI字バランスのポーズのまま縛ったり、アートな時間を満喫した。
今はもうSM女王を引退し、普通の主婦なので、近年の店の様子は知りません。ただ、『眠れる森』は私を育ててくれた大切な場所。いつまでも続くことを願っていました。愛好家が増えるのは良いことですが、SNSとかで目立った結果、こういった事態になったのであれば、やはり限られた人のための場所であったほうが良かったのか……。複雑ですね」
一方、2004年に東京・六本木のハプニングバー「メンバーズクラブロック」が全国で初めて摘発された際、公然わいせつで逮捕された男優のチョコボール向井は冷静だ。
「僕は公然わいせつで懲役5月、執行猶予3年の有罪判決を受けました。前科がつくとその後の生活は大変です。住居も退去せざるを得なかったし、共演女優さんには今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
今回の摘発で、店や居合わせた客の心中は察します。でも、やはり違法なものはダメ。普通のバーで届けを出して、店内で性行為をさせてるわけでしょう。もちろん風俗店として届けを出しても許可が下りるとは思えない。この形態の店はもう限界なんです」