日夜、街の治安維持に励むLAポリスたち(写真中央の女性がYURI氏)
「見て見ぬふり」は犯罪に近い
──日本は犯罪こそ少ないものの、「痴漢大国」であるとも言われます。
YURI:昔から痴漢が減りませんね。私も高校生の頃は小田急線で毎日痴漢に遭っていました。被害に遭った女性が『やめてください! 痴漢です!』とその場で抵抗できればいいんだけど、日本ではなかなか難しいこともよくわかります。
だから痴漢に気づいた周りの大人が声を挙げることが大事だと思います。アメリカなら気づいた人が『おい、お前何してるんだ!』と声を挙げますが、日本は痴漢していることがうすうすわかっていても見て見ぬふりをしている人が多く、私が高校生の時も誰も助けてくれませんでした。痴漢を見て見ぬふりすることも犯罪に近いことを知ってほしい。
──YURIさんは日常生活ではどんなことに気をつけていますか。
YURI:私は警察官の性(さが)で常に周りを見ています。カフェやレストランに入る時はまずどこに座れば安全かを考えて、周りに怪しい人や挙動不審の人はいないかと見渡します。
日本に滞在中、都内の洋服店で買い物をしていた時、60代くらいの怪しい目つきをした女性が店内に入ってきました。これは何かありそうだと気にしていたら、そのおばさんが売り物の服をおもむろにカバンに入れ始めたので、“ああ、やっぱり…”とため息混じりに店員に教えました。日本人は警戒心が低く周りをあまり見ないけど、私は職業病で異変に気づいてしまいます。
──近年は日本でも街中や電車内で通り魔事件が連続して発生しています。模倣犯が現れて、今後ますますやり口が巧妙化しないかが懸念されます。
YURI:犯罪者も簡単に捕まりたくはないから、事前にやり方を考えます。通り魔が出たら、私が現場にいたら何をしてでも捕まえますが、丸腰の一般人は逃げるしかありません。だからこそ、常に周囲に気を配って危険がないかを事前に察知しておくことが重要です。周りをよく見て、目つきがおかしかったり挙動不審な人物がいたら、その人の行動に注意してなるべく早くその場を離れましょう。
街を歩いていて後ろからついてくる人がいたら、立ち止まったりお店に入るなどしてやり過ごす。暗い夜道で歩きスマホして、耳にはヘッドフォンなんてもってのほかです。特に女性の場合、常に周りを警戒していないと、マンションのオートロックや部屋の扉を開けた瞬間をねらわれて襲われることがあります。