国内

在日経験のある外国人たちが「日本の没落」を口にし始めているという厳しい現実

日本は世界が憧れる国だと思っていたが……(イメージ)

日本は世界が憧れる国だと思っていたが……(イメージ)

 日本は世界でも有数の治安の良さと安定した経済の国で住みやすい、と長らく日本人は信じてきたが、どうやらそれは過去のことになっているらしい。ライターの森鷹久氏が、在日外国人達の本音から垣間見える、日本の「没落」についてレポートする。

 * * *
 何かにつけ「日本はスゴイ」と自負してきたが、かつてのように豊かで過ごしやすく、世界から憧れられる国ではなくなってきていると、愛国心を標榜するネットユーザーでも認めざるをえないほど、その「没落」を実感しつつある。もっとも、何を持って「貧しい」とするかは人によって見解も大きく異なるだろうが、やはり日本の「格」が落ちつつあることを、かつて日本で働き、暮らした人から聞くと説得力が違う。

「日本はもういいです、行きたいとは思いません」

 筆者のオンラインインタビューに答えてくれたのは、ベトナム在住の自動車販売会社経営・フォンさん(仮名・30代)。彼は新型コロナウイルスの感染拡大直後までは「技能実習生」として、関東某県の水産物加工場で働いていた。だがコロナ禍によって工場を経営する親会社の業績が悪化すると、勤務日を減らされ、月に十数万円ほどだった給与が下げられたという。

 ただでさえ少ない給与がさらに減ることは、フォンさんにとって人生を揺るがす大事件だった。というのも、彼は莫大な借金を背負って日本にやってきていたからだ。

 海外からの実習生の中には、多い場合では100万円近い手数料を母国の業者に支払い来日していた人が少なくなかった。フォンさんも、その支払いのために借金をし、来日後に働きながら借金を返すという実習生の一人だったのだ。そもそも外国人技能実習生の募集においてブローカーが介在することは禁じられているし、たびたび摘発もされてきたが、希望通りの国へ確実に派遣される方法としてのニーズは根強くあり、だからこそこうした業者がは今なお存続している。そんな業者を介して希望した日本へフォンさんはやってきていた。

 技能実習生の給与は1か月15~20万円ほどだと言われ、そこから社会保険料や所得税・家賃・水道光熱費、滞在先によってはWiFi使用料等が差し引かれるため、手取りは十数万円というケースが多い。決して高給取りではないところに、コロナ禍で仕事が減って給与が削減されると、母国で待つ家族への送金はおろか借金も返せなくなってしまった。明日食べるものにも困る実習生が相次ぎ、犯罪に手を染めるものがいたことは、読者もご存知の通りだろう。

 コロナ禍で技能実習生の窮状が伝えられ始めた頃、不正を働いて金銭を得ようとする外国人を取材するため、SNSで見つけたアカウントのひとつにメッセージを送ったのが、筆者とフォンさんの接点だ。筆者が初めてフォンさんのSNSアカウントを発見した時、そこには日本円の札束や、スマホに挿入して使用する大量の「SIMカード」の写真などが投稿されていた。言葉で明確に記しているわけではないが、特殊詐欺などのを行う犯罪グループが、身元の特定を防ぐために、不正に入手したSIMカード用いること思うと、後ろ暗い交友関係によるサイドビジネスを始めていることがうかがえた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト