山上容疑者がかつて配属された海上自衛隊第1術科学校（広島県江田島市）
安倍晋三・元首相が奈良市内での遊説中に銃撃され、死亡した事件は国内外に衝撃を与え、いまだ動揺は収まる気配がない。逮捕された奈良市在住の山上徹也容疑者（41）は、2002年から2005年までの3年間、海上自衛隊に所属していたことが明らかになっている。
彼が所属していた広島県の呉基地に勤務する現役の海上自衛官は、山上容疑者と同時期から、ここに所属していたという。
「正直、報道で必ず『元海上自衛隊員』という言われ方をされることには悔しいといいますか……。海上自衛隊としての誇りはここにいる人間は誰もが持っているはずですので、何か海上自衛隊が貶められているような思いです。ただ、唯一の救いは、同時期に所属しながら、私が直接は彼（山上容疑者）のことを知らなかったということです。
彼は任期制自衛官（任期を定めて採用される自衛官。海上自衛隊の場合はおよそ3年で1任期）ということですが、入隊する場合は防衛大学校を卒業してきた幹部候補生や非任期制の自衛官とともに同じ訓練をし、同じ釜の飯を食います。最近は就職先の一つとして、生活費がかからず給料をもらえ、今後の就職に有利に働くという就職予備軍といった意味合いで任期制自衛官として入隊してくる若者も多くなっています。
ただ、任期制自衛官は、外から見て隊員なら一目で分かるようになっています。例えば任期制自衛官は任期を満了しても『曹』という階級にはなれません。一方、防衛大学校卒は幹部候補生として『曹長』からキャリアをスタートさせるため、階級章でエリートだとすぐわかります。なので立場の違いというのは、自衛官の中でも視覚的に入ってきます。そうした劣等感を感じる隊員もおそらくいるでしょう。そうした差に奮起して、改めて幹部候補生の門をくぐる隊員もいます」
山上容疑者は自作の拳銃で銃撃に及んだとされている。海自時代の経験だけでそのようなことが可能だったのだろうか。
