今のペースならシーズン最多本塁打記録更新もあり得るのか(時事通信フォト)
ビル風が“追い風”に!?
「70本塁打」達成には、数々の壁を乗り越えなくてはならない。一方で今の村上には追い風も吹いている。スポーツ紙記者が語る。
「サンタナ(29)が故障から戦列復帰したことが朗報です。復帰2戦目となった7月18日の巨人戦で菅野智之(32)から2本のアーチを放つなど早速エンジン全開です。サンタナが5番に控えるので、相手バッテリーは4番の村上を簡単に歩かせられない。勝負する機会が増えるので、これまで以上にアーチを増やす可能性が十分にある」
本拠地が狭い神宮球場であることも利点だ。バレンティンが60本を達成したのもヤクルト在籍時だった。広澤氏が語る。
「僕もヤクルト時代の経験から、神宮球場がホームランの出やすい球場であることはよくわかる。143試合の半分を神宮でやるので有利に働くと思います。特に最近の神宮は、ビル風が強く吹くようになって打者有利になっている。この風を利用したいですよね」
バレンティンを超える歴史的な記録達成を目指すうえで、さらに必要となるのは「村上自身」が変わることかもしれない。広澤氏が語る。
「2013年のバレンティンはホームランしか狙っていなかったですからね(苦笑)。当時のヤクルトは最下位だったので、どんな場面で本塁打を狙っていても、文句を言われることはなかったのでしょう。その点、村上はチームバッティングに注力できる。それは大きな魅力ですが、シーズン最多本塁打を塗り替えるためには、貪欲に狙う“エゴ”も必要になってくるかもしれませんね」
いくつもの壁を乗り越えて、令和に新たな記録を刻んでほしい。
※週刊ポスト2022年8月5・12日号