視聴者が望むのは“ギリギリの戦い”
負ければW杯出場が遠のく今年2月1日のホームのサウジアラビア戦では視聴率20.0%と久しぶりに大台に乗った。
「数字を見ると、視聴者は“ギリギリの戦い”を望んでいるのだと思います。でも、日本がよほど弱くならない限り、アジア予選で“W杯出場危機”は起こらないでしょう。実際、勝利が見込まれている最終予選前の2次予選は今でも視聴率が低い。昨年4試合放送されましたが、8~9%台で全て1桁でした。これから、もし最終予選を放送できても、その程度の数字になるかもしれません」
日本がW杯初出場を決めた1997年の最終予選では、初戦のウズベキスタン戦は16.0%と当時にしてはそれほど高くなかった。しかし、そこから徐々に上がっていった。
「終了間際に追いつかれた10月4日のカザフスタン戦後に加茂周監督が更迭され、出場が危ぶまれるようになりました。その試合は21.1%で、1週間後のアウェーのウズベキスタン戦は22.6%、10月26日のホームのUAE戦では30.1%と視聴率が上がっていった。11月1日のアウェーの韓国戦では日中の時間にもかかわらず、24.7%と高い数値をマークした。翌週のホームのカザフスタン戦が37.2%、11月16日のイランとの第3代表決定戦は47.9%と日に日に関心が高まっていった。当時のアジア枠3.5でしたが、8.5まで広がれば緊迫した最終予選はもう見られない。テレビ局にとっては頭の痛い改正でしょう」
出場枠が拡大されると、アジア予選で視聴者が望む“ギリギリの戦い”はもう見られなくなるのか。ファンにとってもテレビ局にとっても、悩ましい問題だろう。