1980年の箱根駅伝2区で区間新を出す瀬古氏に指示を送る中村氏(左上。写真/共同通信社)
「中村監督は“顔を見ればそいつの人生がわかるんだ。俺は軍隊でそういうのを覚えたんだ”とよく言っていました。実際、走っているフォームを見ただけで故障している部位や選手の潜在能力がわかったようです」
そう話す瀬古も、早大入学後は中村にマラソンの素質を見出される。「今日からマラソンをやりなさい。俺の言う通りやれば、お前なら世界一になれる」と告げられた。
「その言葉を信じてみようと心に決めたのです。もし中距離を続けていたら、私の走りが世界で通用することはなかったでしょう」(瀬古)
(第2回につづく)
※週刊ポスト2022年8月19・26日号