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横浜元監督・平田徹氏が明かす「退任の無念」とPL学園元コーチとの“再出発”【前編】

横浜を退任した平田氏は、村野工業の監督として再出発した(筆者撮影)

横浜を退任した平田氏は、村野工業の監督として再出発した(筆者撮影)

 横浜高校とPL学園といえば、1998年夏の甲子園で延長17回にわたる死闘を繰り広げたことが、高校野球ファンの記憶に深く刻まれている。そんな2校の元監督と元コーチが、指導者としてコンビを組んでいる高校がある。新刊『甲子園と令和の怪物』が話題となっているノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。【前後編の前編】

 * * *

 神奈川の横浜高校、そして大阪のPL学園といえば、昭和から平成にかけて、高校野球界で絶大な人気を誇った東西の横綱だろう。東の横浜で2019年まで監督を務めていた平田徹氏(39)と、2016年に事実上の廃部となった西のPLで“最後のコーチ”を務めていた千葉智哉氏(33)がタッグを組み、古豪復活を目指す──そんな学校が兵庫県神戸市長田区にある。

 来年より「彩星工科」に校名が変更となる神戸村野工業だ。夏の甲子園大会が開催されていた8月のある日、高台に位置する同校のグラウンドに行くと、早稲田佐賀と練習試合を行っていた。1・2年生をあわせて23人という小さな所帯だが、7月14日に監督に就任したばかりの平田氏は鋭い眼光で球児のプレーを見つめていた。

「うちは村野工業だが、相手は早稲田さんなんだ。そんな汚い野次を飛ばしたらダメだろ」

 興奮して相手選手に野次を飛ばしてしまったナインを平田氏は茶目っ気も交えて諭していた。試合が終われば選手を集めてバントのミスや、走塁でのボーンヘッドを強い口調で諫めていた。

 現校名の印象から公立校と思われがちだが、村野工業は100年以上の歴史を誇る私立で、甲子園には春2回(1978年、92年)、夏1回(1991年)の出場経験がある。OBには広島の現役外野手である野間峻祥がおり、著名人ではダチョウ倶楽部の故・上島竜兵氏が卒業生だ。

 本題に入る前に、平田氏が横浜の監督を辞任した経緯について触れざるを得まい。

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