国内

紀藤正樹弁護士、旧統一教会問題追及30年の戦い「嫌がらせや脅迫はしょっちゅう」

旧統一教会問題を中心にカルト宗教がもたらす被害について警鐘を鳴らし続けてきた紀藤正樹弁護士

旧統一教会問題を中心にカルト宗教がもたらす被害について警鐘を鳴らし続けてきた紀藤正樹弁護士

 今ワイドショーで見ない日はない弁護士の紀藤正樹氏。旧統一教会の問題を追及し続ける紀藤氏だが、1990年代に「霊感商法」や「合同結婚式」が大きく取り上げられて以降、世間的な注目度は皆無に等しかった。そんななか、なぜ彼は圧力に屈せず闘ってこられたのか。

 * * *
「『統一教会に法のメスをいれてほしい』ということは、弁護士になってから30年以上、ずっと行政や警察などに言い続けてきたことなんです。しかし行政だけでなく政治は見て見ぬふりを続け、統一教会は被害者を出しつづけ、安倍元首相の襲撃という悲惨な事件が起きた。この“空白の30年”は、弁護士としての僕の敗北の歴史なんです」

 そう話すのは、第二東京弁護士会に所属する紀藤正樹氏(61)。1990年に弁護士として活動を開始し、旧統一教会問題を中心にカルト宗教がもたらす被害について警鐘を鳴らし続けてきた。

「法学部にいた頃から『霊感商法』は話題になっていたし知っていましたけど、霊感商法の問題に関わることには信教の自由の問題もあり、最初は躊躇していたんです。

 ですが、実際に弁護士として現場で相談を受けていると、あまりに卑劣なことが起きていました。事務所に来た高齢のおばあさんが僕の足下で、『先生のところに生きて来られた』と泣き崩れるんですよ。献金のせいで家族が崩壊し、事務所に相談に行こうとしたら、教会の人に『あの弁護士のところに行ったら交通事故に遭って死ぬ』と言われた、と言うんです。最初はあまりにもひどい人たちだと、単純に統一教会信者のことを思っていました。

 しかしその後、裁判対策で証人になってもらおうと元信者の話を聞くようになると、霊感商法で相手を騙している側の信者も『人を救ってあげたい』という善意で不法な行為をしていたことがわかってきた。善意につけ込んで『他者を助けるには人のお金を奪うことが正しい』と信者に思い込ませ、身内ごと不幸にするなんて、とんでもないと思った」

 1992年、複数の芸能人が参加し注目を集めた旧統一教会による「合同結婚式」は、世間の関心を多く集めた。しかし以降はメディアによる扱いも減り、問題は地中に潜っていくことになる。

「世間の注目がない間にも、統一教会は拡大し続けた。それどころか信者に子供ができて2世問題が生まれ、今は3世問題や1世の介護問題にまでなっています。

 僕ら弁護士は地道に、被害者の相談の対応をしたり、講演やイベントがある度に、名前を出した政治家や自治体などに公開質問状や申し入れ書を提出したりしていた」

関連キーワード

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン