薬の副作用「逆引きリスト」
「口が臭い」と言われる人は要注意
地味だが、つらい症状に悩む人も。富山県の三上千恵さん(73才・仮名)が浮かない表情で、こうこぼす。
「孫に『おばあちゃん、お口が臭い』と言われてショックを受けたんです。思えば、たしかに唾液があまり出なくなった感じはしていて、お茶なしではクッキーも食べられなくなっていた。そのほか、目がかすむ症状も出ています」
思い返せば三上さんは1週間ほど前、かかりつけ医で「夜あまり眠れない」と伝え、睡眠薬を処方してもらっていた。長澤さんが推測する。
「おそらく、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が処方されたのではないでしょうか。この系統の薬は神経伝達物質を遮断する『抗コリン作用』を起こすと知られており、唾液の分泌や発汗を抑えたり、動悸、かすみ目、記憶障害などの副作用を招くことがあります。
抗コリン作用は総合感冒薬を含め幅広いジャンルの薬が引き起こすことがあるため、留意する必要があります」
この抗コリン作用を招く可能性があるのは抗不整脈薬や抗ヒスタミン薬、睡眠薬、抗うつ剤、抗精神病薬、感冒薬、頻尿・失禁用薬、酔い止め薬などが挙げられる。
「『薬も過ぎれば毒となる』といわれているように、薬の量や使い方を間違えると毒になることは古来知られています。まさに、現代の私たちに警鐘を鳴らしているのではないでしょうか」(一石さん)
米ボストン在住の内科医、大西睦子さんはこうアドバイスする。
「薬をのむ前はなかった症状が出れば、副作用を疑うべきです。遠慮せずに、すぐに医師に相談してください。とはいえ、たとえば不整脈といっても『座っているだけなのに急に動悸が激しくなる』『めまいや失神、呼吸困難が出る』など症状はいろいろあります。詳細を記録し、伝えてほしい。
いちばんやってはいけないことは医師に相談しないまま、薬を変更したり服用を中止することです。絶対に避けてください」
たとえば、ステロイドの服用を急にやめると体内のステロイドホルモンが不足して、倦怠感や吐き気、頭痛、下痢、発熱、血圧低下などの症状が表れ、場合によっては命にかかわることもあるという。
いま一度、自分の不調ときちんと向き合いたい。
※女性セブン2022年9月8日号