安倍晋三・元首相の国葬当日に想定されるテロ対策「警備マップ」
ドローンは絶対に「捕獲」
当日は、会場周辺に一般参列者用の献花台がしつらえられる予定で、重要な警備対象になる。
「北の丸公園を含む日本武道館の外周をくまなくチェックする。茂みは危険なので草刈りするし、マンホールなどは一つひとつ開けてチェックです。チェックが済んだマンホールや溝蓋には『チェック済』のシールを貼っていく。木の枝も剪定します。本番が近づいたら警視庁が総動員体制で行なうはずです」(濱氏)
地上だけでなく、上空も警戒が必要だ。「ドローン・テロ」である。
警視庁は不審なドローンが首相官邸の屋上に侵入し、積載物から微量の放射性セシウムが検出された事件(2015年)以来、その対策を準備してきた。
具体的には、多数の警察官が上空を監視し、不審物を発見すると、妨害電波装置で航行不能にしたうえで、網を吊り下げた警察ドローンや、地上から網を飛ばす「ネットランチャー」で捕獲する。危険物を搭載している可能性があるため、撃ち落としてはならないのだ。
ほかにも危険な場所はある。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が語る。
「世界各地で現われている過激派集団の『ブラック・ブロック』は国際会議があると暴動を街中で起こしているが、日本でそうした暴力行為が起きる可能性は低い。むしろ懸念されるのは偶発的な事件です。国葬について世論は二分されており、恐らく当日は反対派の抗議行動が起きて、賛成派が阻止に動く。両派が衝突すれば暴徒化する危険がある。国会議事堂周辺、靖国神社や東京駅などランドマークとなるような場所は警備が必要です」
※週刊ポスト2022年9月16・23日号