芸能

ツイッターの「#ちむどんどん反省会」で思い知る人間の醜さについて

黒島結菜がヒロインを務める『ちむどんどん』

黒島結菜がヒロインを務める『ちむどんどん』

 表現することは自由である。同時に心のケアも重要な問題になっている昨今である。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 いろんな意味で注目を集めているNHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」。今月30日で最終回を迎えます。9日には朝ドラに続いて放送されている「あさイチ」に、主演の黒島結菜と夫役の宮沢氷魚、主題歌を歌っている三浦大知がそろって出演。フィニッシュに向けて、ラストスパートの機運を盛り上げました。

 ヒロインを応援しながらドラマを楽しんでいるファンも多いいっぽうで、それ以上に目立つのが日々バッシングに精を出す人たち。ドラマだけじゃなくてどんなことでも、文句がない人は黙っていますが、批判や反対の意見を持つ人は大きな声を張り上げがちです。

「ちむどんどん」が始まってひと月ほどしたころ、私もここで『賛否両論の朝ドラを「ちむどんどん」しながら堪能するコツ5』というコラムを書きました。twitter上に内容への批判が日々たくさん書き込まれる現状を踏まえつつ、自分自身も「ツッコミどころが多いドラマだな」と感じつつ、こういう見方をしてみてはと5つのコツを提案した次第です。

 そのときにコツのひとつとして「twitterの『#ちむどんどん反省会』を読んで荒ぶった心を浄化する」という項目を入れました。たいへん申し訳ありません。前言を撤回します。初期はさておき、ここ数カ月の「#ちむどんどん反省会」は、読んで心が浄化されるどころか、ネガティブな感情に包まれて気持ちが沈むだけです。

 twitter上に「#ちむどんどん反省会」というハッシュタグを定着させたのは、「ちむどんどん」の独特なパワーの成せる業。このハッシュタグは毎回ドラマの放送が終わった直後から大いに盛り上がり、しばしば「#ちむどんどん」をしのぐ勢いを見せます。ただ、ドラマが回を重ねるにつれ、漂ってくる負のオーラがどんどん増幅していきました。

 私たちは「#ちむどんどん反省会」の歪んだ盛り上がりっぷりから、反面教師としての教訓をたくさん得ることができます。僭越ですが、せっせと書き込んでいる方々の膨大なエネルギーを少しでも有効に活用するために「『#ちむどんどん反省会』の反省会」を執り行うことにしましょう。会と言いながら参加者は私ひとりですけど。

●教訓その1「いったん『批判していい』というレッテルが貼られると、人はじつに楽しそうに悪口をぶつける」

 常々言われているネットの特性でもあります。事件やスキャンダルが起きるたびに同じ光景が繰り返されてきました。twitterは大半のユーザーが匿名なので、悪口や批判の集中砲火がエスカレートしやすい傾向もあります。ドラマの悪口で訴えられる心配はまずないので、こんなにお手軽で安全なうっぷん晴らしの方法はありません。

 悪口合戦においては「気の利いた悪口」をぶつけた人が、たくさんの尊敬と称賛(具体的にはtweetへの「いいね」など)を集めます。ハナから悪意を持って鑑賞しつつ「今日はどんな悪口を言ってやろうか」「あ、いいネタ見つけた」と思ったりするのは、さぞ楽しいことでしょう。どういう表情をしているのか、こっそり見てみたい気もしますが。

関連キーワード

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン