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香川照之以上に悪質? 60代女性が振り返る酒癖の悪い家族を相手にする“虚しさ”

野原広子氏が語る

野原広子氏が酒癖の悪い人について語る

 銀座の高級クラブのホステスへの性加害が報じられた香川照之(56才)。香川と同様に酒癖が悪い人々は少なくない。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、周囲にいた酒癖の悪い人々を振り返る。

 * * *
 銀座の高級クラブで酔って、ホステス嬢のブラを剥ぎ取って、においを嗅いで、同席した人たちに回し、服の中に手を突っ込んで胸を揉みしだき、それを動画で流し……という乱暴狼藉、やりたい放題。

 俳優・香川照之さん(56才)のこのニュースを聞いたとき、たいがいの女性は、その想像を超えた酒癖の悪さより先に、ブラってそんなに簡単に剥ぎ取れるもの?という疑問を持ったに違いない。急いで着替えるとき、いちばん手こずるのがブラ取りだもの。

 背中に手を回した次の瞬間、パチンとホックを外す助平男はいないではない。しかし、両肩ひもをどうやって抜いたのか。てことは、剥ぎ取るときに相当ハレンチなことをしたに違いない、と私は見たね。

 なんでも香川さんは、西麻布のクラブやバーで軒並み出入り禁止だったとか。それを聞いたとき、「はは~ん」と思ったね。若い頃、盛り場でバイトしたときに遭遇した何人かの客の顔が浮かんだのよ。

 出禁にもいろいろあって、1980年代初頭、奥さんに先立たれた60代の地主・Yさんは、金離れもいいし、店の子にちょっかいを出すわけでもない。隅っこでちびちびと手酌でビールを飲むだけ。ところが、彼がビール瓶の首をつまみ上げて「お代わり」と要求したら、店主の顔色がサッと変わった。「Yさんっ、約束が違うよ。さ、帰った帰った!」とすごい勢いでYさんの腕を引っ張って、わずかな勘定を急き立てて、速攻でつまみ出したの。わけを聞いたら、中瓶2本目で「ジャーッ」。……その場で放尿してしまうのだそうな。

 Yさんはいつしかシッシッと手で追い返されるようになった。野犬のような扱いをされ、うつむいて黙って去っていくYさんは何を思っていたのか。家でおとなしく飲んでいればこんな屈辱を味わうこともなかったのに。

 酒癖といえば、4年前に59才で亡くなった、私の年子の弟もひどかった。義父から聞いた話では、実家のある茨城の町の居酒屋のほとんどで出禁だったそうな。

「な、ヒロコ、飲み屋っちゃ、金を払う客なら飲ませっぺ? それを帰ってくれって言われるんだから相当だど」と、義父は私に訴えていたっけ。

 宮大工だった弟は、最初はおとなしくヘラヘラと飲んでいるんだけど、酔いが回ってくると、たった一言で相手を怒らせるんだよね。

 女性がいれば「ブダ女が!」と吐き捨て、店主には「こんな安酒出して金取るんじゃ、儲かってしょうがんめ」くらいのことは言ったに違いない。40代、50代と年を重ねると、毎回、愚痴と自慢話と人の悪口。私にも「東京で何やってんだが」と喧嘩を売ってきた。あまりのことに、カメラを向けたり録音テープを回したりしたこともある。そのときは「やめてくれ~」と笑いながら頭を抱えたけれど、私が怒れば怒るほど、弟の目はランランと輝く。うれしくてたまらないのよ。

 弟は実父が亡くなったとき1才3か月。まだ乳離れもしていない。それなのに、同居していた祖母がかわいがったのは、当時3才の私の方だった。祖母に気に入られようと弟が紅葉のような手で草履を揃えても、「ちっともかわいぐね」と言う。その様子を私は横で黙って見ていた。

 弟は中卒で大工の修業に出て、20才で独立した。自分の家を建て、念願かなって社寺仏閣の修復をするようになったものの、屈折した思いは年とともに積み重なる。聞いているだけでそのコンプレックスの強さにうんざりした。酒癖の悪さの向こうにある寂しさ、やりきれなさが切なかった。

 弟だけじゃない。コップ2杯のビールが限度の義父も相当だった。赤い顔で「てめえ、この野郎、きさまら、バカ野郎」と声を限りに怒鳴りまくる。こうなると手がつけられないから、幼い私は近所の友達の家に避難した。

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