歯周病に早く気がつくためのチェックリスト9

歯周病に早く気がつくためのチェックリスト9

【間違い】歯周病治療は抗菌薬で治る?

 歯周病は、バイオフィルム内の歯周病菌による「感染症」の一種。そのため一部の歯科医が、抗菌薬(抗生物質)による歯周病治療を行っている。一般名・アジスロマイシンという抗菌薬を使うと、歯周病が劇的に治るケースがあるというのだが、これには大きな落とし穴があるのだ。

 抗菌薬だけの治療効果は一時的で、決して「根治薬」ではない。投与を止めれば、また同じ状態に戻ってしまう。

 それなら、投与を継続すれば良いというわけではない。抗菌薬を長期投与すると、薬剤耐性(AMR)が起きて、抗菌薬が効かなくなるからだ。そうなると、抗菌薬で治癒可能だった感染症も重症化して、死亡するリスクが出てくる。

【間違い】除菌水で歯周病が治る?

“口腔機能水で歯周病や虫歯の原因菌を瞬時に溶菌し、1日でほとんど治すことができます。あとは口腔機能水で毎日うがいをすればOK”──インターネットには、こんな夢のような歯周病治療を宣伝する歯科医院が散見される。口腔機能水とは、次亜塩素酸と炭酸水素ナトリウムが含まれた電解水だという。

 だが、飛びつくのは待ってほしい。この治療法については、日本歯周病学会が「研究途上の段階で科学的な根拠が十分ではない」という主旨の見解を公表しているのだ。

 医薬品として未承認なので、歯周病治療の有効性や安全性も証明されていない。

 基本的な歯周病治療と、毎日の正しいセルフケアで大半の歯周病は治るので、特殊な治療法や患者が楽をする治療法は避けたほうが賢明である。

【間違い】アルコール、うがい薬、塩マッサージで治る?

 就寝前の酒(アルコール)で「除菌」すると、歯周病を予防できるという説、イソジン等でのうがい、塩の歯肉マッサージで歯周病が治るというものまで諸説あるが、すべて間違いだ。

 pH値が低い(酸性度が強い)ワインやビール、日本酒などの発酵酒は、虫歯の原因にもなる。プラーク除去などの根本的な治療をせず、塩で歯肉マッサージをしても気休めにしかならない。

【プロフィール】
岩澤倫彦(いわさわ・みちひこ)/1966年、札幌市生まれ。ジャーナリスト。報道番組ディレクターとして救急医療、脳死臓器移植などのテーマに携わり、「血液製剤のC型肝炎ウィルス混入」スクープで、新聞協会賞、米・ピーボディ賞。著書に『やってはいけない歯科治療』(小学館新書)などがある。

※週刊ポスト2022年9月30日号

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