摂るべき食品とは反対に、避けるべきものもある。
「加工食品や、糖分たっぷりのパンやお菓子、カフェイン、アルコールなどは、できる限り断つことを指導しています。ストレスの多い現代人はそれらに手を伸ばして“プチ依存”に陥っている人が少なくない。一時的に気持ちは満たされたとしても、栄養を削って添加物や有害物質を体内に入れているようなものなのです。
特にカフェインは、紅茶からチョコレートまで多くの飲食物に含まれているため、子供であっても無意識に摂取していることが多い。しかし、脳を興奮させる作用があり、うまく休息できないうえ、栄養の吸収率を下げる作用もあるため、薬やサプリメントの本来の効きを弱めてしまう可能性がある。
実際、治療しても症状がなかなか治まらない患者さんに尋ねると高確率でカフェインを摂っており、やめるだけで体調がよくなるケースは非常に多いです」
一見、健康にいいと思われる食品にも落とし穴がある。
「たとえば、卵や大豆などは質のいい高たんぱく食品ですが、毎日大量に食べ続けると遅延型フードアレルギー【*】のリスクが高まります。卵なら1日1、2個程度にしておきましょう。
【*症状が出るまでに数時間から数日かかる食物アレルギーのこと】
食べ方にも注意をしてください。メンタルに不調がある人の多くはたんぱく質が足りていませんが、不足を取り戻そうと大量の肉やプロテインなどを摂取すると消化不良を起こします。そもそも消化酵素を作るためにも大量のたんぱく質が必要になるため、不足している人ほどたんぱく質を摂取しても消化できないという“負のスパイラル”に陥ります。少量ずつよく噛んで食べたり、骨を煮込んで作るボーンブロススープとして摂取するなどの工夫が必要です。
また、どのような食品でも過剰摂取は控えたうえ、彩りとバランスよくなるべくシンプルな味付けで食べることを意識すれば、体にいいものを効率よく取り入れることができる。ぼくは3食地元で取れた野菜と肉か魚、お米少量を塩、こしょう、オリーブオイルといった味付けで調理して食べています」
現代人は「休む習慣」が必要
クリニックでは生活習慣の改善も指導している。特に大切にしているのは「休む練習」をすること。
「そもそもうつ病は、体が頑張りすぎて常に緊張し、リラックスを忘れている状態です。人は疲れたら休むことが必要ですが、日本人は『人生は苦しいのが当たり前』『仕事がつらいのは当然』といった刷り込みが強く、頑張りすぎてしまう人が多い。常にストレスで交感神経が高ぶっていれば、心血管の疾患リスクも高くなるし、メンタルの不調も起きやすくなります。
しかし多くの人は、病気になるまで休み方がわからない」