目にする機会の多い賜杯以外にも、様々なトロフィーがある

目にする機会の多い賜杯以外にも、様々なトロフィーがある

中継が終わっているからあまり注目されない

 ただし、こういった各賞は年々減少傾向にある。1990年代にはいすゞ自動車賞として車1台が贈呈されていた。他にも愛媛県青果連賞(ポンジュース1500本)、ホクレン賞(牛乳・チーズ・ジャガイモ・アスパラなど4トン車1台分)、松江市長賞(宍道湖特産ヤマトシジミ1トン)、クリーンキャンペーン賞(化粧せっけん1万個)、全農賞(米30俵、温泉卵1万個)などがあった。

 そうしたなかでもユニークだったのが、1999年まで東京場所(大阪場所は1997年まで)で表彰されていた静岡県農林水産業振興会会長賞。静岡茶やマスクメロンを優勝者の体重相当分、あるいはイチゴパックを優勝者の勝ち星の100倍といった設定だった。全勝優勝と12勝ではイチゴ300パックも違うし、3月場所で優勝した若隆景(131キロ)と7月場所で優勝した逸ノ城(211キロ)とではもらえる静岡茶やマスクメロンが80キロも違うことになる。若手親方が言う。

「角界では部屋の中心となっている力士を“米びつ”と呼ぶが、まさに優勝すれば部屋が食うのに困らないだけの副賞が贈られていた」

 こうした副賞が減少しているのは、2010年の野球賭博事件などの影響もゼロとはいえないが、表彰式がNHKの大相撲中継の終了後ということもあってあまり注目されないからだろう。都道府県知事や団体等の会長クラスがスケジュールを割いて登場するにもかかわらず、表彰式に残っている観客は3割程度。場内は閑散としており、拍手もまばらなのだ。相撲ジャーナリストの指摘。

「表彰式に和装で現われて“ヒョー・ショー・ジョウ!”と大声で読み上げたパンアメリカン航空広報責任者のデビット・ジョーンズさんのように注目を集めた時代もあったが、今は1本7万円の懸賞のほうが大観衆の前で土俵を1周し、場内放送で企業名を読み上げてくれるので、費用対効果が高いと判断されているのでしょう。相撲協会も食えなかった時代から支えてくれている副賞の提供元にもっと敬意を払うべきでしょうね」

 これらの表彰式が終わったあとに、前相撲で相撲を取って来場所から序ノ口の番付に載る力士による「出世力士手打式」があり、御幣を持った行司を出世力士が胴上げして場所前に土俵祭りで迎えた相撲の神様を送り出す「神送りの儀式」が執り行なわれる。それをもって15日間の本場所が終了するのだ。

 千秋楽の進行をもっと早くしたり、NHKの中継を延長するなどして、最後の儀式までお茶の間に伝えれば、視聴者にもっと日本の伝統文化としての相撲を伝えられるのかもしれない。

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