「1人で見るより2人で思いっきり怖がった方が、よりストレス解消になります」(山根さん)写真はイメージ/ushico/pixta
ホラー映画は何人で見るといい?
「怖い」と言いながらも、お金を出してホラー映画を見る理由を、心理学者の椙山女学園大学教授・山根一郎さんは次のように話す。
「動物には危険から身を守るために、『恐怖』という感情が備わっています。それは人間も同じ。
ただし、野生動物が敵と遭遇したときは、逃げるか戦うかしかない。それに対し、人間はさまざまな文明の利器を生み出し、ほかの動物たちに比べて日常生活で危険を感じることが少なくなり、恐怖から身を遠ざけることが可能になりました。それゆえ、“恐怖”という感情は、人間にとってもはや娯楽になってしまった。そして退屈しのぎのために、あえて恐怖を体験するようになったのです」(山根さん・以下同)
ではどのようにすればホラー映画をもっと楽しめるのか。
「家で鑑賞する場合は、誰と見るか、ですね。ベストは夫婦や気の合う友人と2人。とことん怖がりたい人は、1人がおすすめですが、画面に集中しすぎて、ダイレクトに怖さを感じて、トラウマになる可能性も大いにあります。
4~5人だと、どうしてもワイワイした雰囲気になっていまひとつ怖がれなくなる。
その点、2人だと、“いま、この人とだけ恐怖を共有できている”と仲間意識が芽生え、安心して怖がることができます。同じ感情を共有できることで、お互いの仲もいままで以上に深まりますよ」
【プロフィール】
映画監督・清水崇さん/代表作に『呪怨』シリーズ(1999~2006年)、映画版『呪怨2』(2003年)、『犬鳴村』(2020年)などヒットを連打している日本ホラー界の巨匠。
社会心理学者・山根一郎さん/椙山女学園大学教授。「恐怖の現象学的心理学」が研究対象だが、怖がりで、ホラー映画は苦手だという。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2022年10月13日号