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“欧米式”の治療は日本人に合わない? 専門家たちが指摘する「新しいもの」のリスク

海外の新薬の場合、日本人の使用実績が少ない事例もある(写真/Getty Image)

海外の新薬の場合、日本人の使用実績が少ない事例もある(写真/GettyImages)

 ハリウッドセレブの美容法やニューヨーク生まれの絶品スイーツなど、黒船来航以来、日本人は“舶来モノ”によって生活を豊かにしてきた。しかしそれが治療や薬といった医学領域になれば、話は違ってくる。よかれと思って取り入れた“欧米式の最新技術”がかえって体を蝕む可能性がある。ドラッグストアで簡単に手に入る市販薬にも注意が必要だ。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが言う。

「日本人には胃がんが多く、そのリスクはアメリカ人の10倍といわれています。理由として、体質に加え、胃薬ののみすぎも挙げられます。欧米人は多少胃が痛くてもすぐに薬をのむ習慣はありませんが、日本人はすぐに胃薬をのんで胃酸を抑える人が多い。その結果、胃酸が出る胃壁が萎縮して、胃がんになりやすいといわれています」(長澤さん)

 胃の不調はピロリ菌が原因であることが多い。日本をはじめとしたアジアではピロリ菌の感染率が高く、胃がんのリスクも高める悪性のものが多いことも明らかになっている。不調があれば、薬の服用よりも先にピロリ菌の有無を調べて除去することが先決だ。

 頭痛や生理痛など女性の服用機会が多い解熱鎮痛剤にも、日本人の体質に合わないものがある。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが解説する。

「胃を荒らす副作用のある『ロキソプロフェンナトリウム』は胃腸の弱い日本人には向きません。実際に私の患者でも服用後に不調を訴える人が多いため、処方を控えている。同じ鎮痛剤であれば胃腸に負担をかけない『アセトアミノフェン』を推奨します」

 注意が必要なものがあるのは処方薬も同様だ。

「東大の調査結果をみると、抗コレステロール薬の『ロスバスタチン』や骨粗しょう症薬の『リセドロン酸』は、特に日本人の体に吸収されやすく、2倍以上の作用効果がある。そのため、ロスバスタチンはアメリカでは10mgから服用を開始しますが、日本では4分の1の2・5mgから開始します。処方される際に用量は考慮されているとはいえ、効きすぎのリスクもあることは覚えておいた方がいいでしょう」(長澤さん)

 欧米かぶれの治療と薬を避け、本当に体に合った医療を受けるために、私たちができることは何なのか。専門家たちは“新しいもの”に気をつけるべきと声を揃える。戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝さんが言う。

「手術をはじめとした“欧米式の最新治療”のほとんどは、全額自己負担の自由診療として行われることが多い。つまり、本当に体に有効かどうかが医学的に検証されていないということ。保険適用の治療であれば何か起きたときに国の補償を受けられますが、自由診療には国の補償がないことを覚えておいてほしい。本当に効果がある治療は、日本では健康保険の適用になります」(戸田さん)

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