第1戦ではホームランを放ち、その後の活躍を期待させた(写真:JMPA/藤岡雅樹)

第1戦ではホームランを放ち、その後の活躍を期待させた(写真:JMPA/藤岡雅樹)

ブーマーや松中は翌年も活躍

「今シリーズでは、村上もブーマーや松中と似たような成績になってしまいました。村上にマークが集中した分、5番のオスナが打ちまくったという効果はありましたが、4番がブレーキになるとチームはなかなか勝てなくなる。今シリーズで、オリックスは短期決戦における“村上攻略法”をセ・リーグの投手陣に伝授したことになります。

 では来年、村上が今年のようには打てなくなるかと言えば、そうは思えない。短期決戦とは違い、ペナントレースでは1シーズン通して、同じピッチャーと何度も対戦しますし、夏場になると投手陣は全体的に疲れてくる。今年、苦手にしていた巨人の菅野智之から9月に初めてホームランを放ったように、村上の対応力はピカイチです。長丁場のシーズンで、トータルの成績が大幅に落ちることはないと思います」

 現にポストシリーズで絶不調に終わったブーマーや松中という過去の三冠王も、翌年は前年と遜色ない成績を残している。

「村上はまだ22歳。三冠王を獲った上に、もしバレンティンのシーズン本塁打記録を抜いて、日本シリーズでもMVPを獲得していたら、あまりに完璧すぎますよ。ファンは今後の楽しみが残ったくらいに考えてもいい。村上対策を徹底することで、日本のピッチャー陣のレベルもどんどん上がっていく。そういう意味では、村上がいたからこそ盛り上がったシリーズでした」

 三冠王に輝いた選手が日本シリーズで活躍した例もある。1973年の王貞治(巨人)は2試合連続ホームランで技能賞、1985年のランディ・バース(阪神)は最高殊勲選手賞に輝いている。王が33歳、バースは31歳だった。現在22歳の村上には、やり返すチャンスがまだまだ残っている。

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