南太平洋にあるバヌアツ共和国を構成す約半分は火山島。写真はタンナ島の活火山ヤスール(dpa/時事通信フォト)

南太平洋にあるバヌアツ共和国を構成す約半分は火山島。写真はタンナ島の活火山ヤスール(dpa/時事通信フォト)

 この番組は独自の視点やこだわりを持って世界&日本を巡る”クレイジージャーニー”たちがその人だから話せる、その人しか知らないという常人離れした体験談を語る、伝聞型紀行バラエティ。MCは松本人志さんに設楽統さん、小池栄子さん。毎週欠かさず見ていたのだが、2019年9月に不適切な演出が明らかになり、番組は休止。だがこの10月に番組が復活、時間も深夜からゴールデンタイムになった。

 さて、この時の滝沢氏の行き先はバヌアツ共和国のベンボウ火山。プライベートで火山や溶岩湖探検を行っているという彼にとっては2度目。噴火口までの旅では、同行ディレクターが音を上げる度に、額や頬を触ったりなでたり、首筋を触っていた滝沢氏。イラッとしたのか不安に感じたのか、この仕草はマイナス感情をなだめる時に出やすいといわれるが、彼の口から出てきたの「大丈夫です、助け合いなんです」をはじめとする優しい言葉ばかり。番組とはいえ、過酷な状況で見せた気遣いに彼の人柄がにじみ出ていたのだ。

 噴火口へ向かう時は事故に合わないために、「緊張した方がいいと気持ちを保っている」とテンション低め。その言葉から彼の物事への取り組み方や真剣さが伝わってきた。先陣を切って断崖絶壁をロープで懸垂下降しながら、カメラで自撮りする余裕を見せ、次に降りてくる仲間のために的確にアドバイスを送る。今考えると、彼のこういうところが若手の育成やプロデュースにも生かされてきたのだろう。

 火口に着くや雨が降り始め、進むことも帰ることもできないヤバイ状況に焦るディレクターを前に、「最悪ですよ」と淡々と言いながら冷静沈着な滝沢氏。雨が止み、アタックのチャンス到来。防護服とガスマスクを着用すると、「もっと行ったら、もっとすごいんで」とテンションが上がり、力のこもった声を出す。火口の淵へと接近し、マグマを覗きこむと「やっぱ最高」と声を上げたその表情は、タレントというより探検家の顔だった。

 彼がジャニーズを退社した今だからこそ、火山探検家滝沢秀明氏の冒険を見てみたい。

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