新型コロナウイルスワクチンの乳幼児接種会場。10月25日、生後6カ月~4歳の乳幼児を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった(時事通信フォト)
昨年、そんな反ワクチン主義の弟の子供がついに感染。症状は軽かったものの、同居する家族も「みなし陽性者」としてカウントされ、そのおかげで一人頭約10万円、計30万円ほどの保険金を得たのだという。そして、弟の所業が堀田さんを激怒させた。
「感染者にカウントされればお金がもらえると知り、感染している可能性が低くない状態で、弟は実家に行ったんです。そして、自ら保健所だか病院に電話をし、両親もみなし陽性者にカウントされるのではないか、そう問い合わせをしていたんです」(堀田さん)
その事実を打ち明けてくれたのは、他ならぬ両親であったが、両親も「もらえるならもらわないとねえ」といった感じで、これもまた、堀田さんを激怒させ、絶望させるには十分だった。
「反ワクチンと言いながら、そんなに薄っぺらだったのかと。同じ家族だと思ってきましたが、こちらの気も知らないであまりにも無責任、非人道的だと、弟だけでなく両親のことも軽蔑しています。ワクチンについて弟と意見が合わなかったときも家族が分断された、と感じていましたが、今回は本当の分断。私が引いちゃってるんです」(堀田さん)
四国在住の会社員・坂口章さん(仮名・40代)は、妻がSNS情報を参考にしすぎたあげく「コロナウイルスは存在しない」という説にどっぷり浸かっていく様子を目撃することになってしまった。メディア等でも、そうした人物の存在が報じられていたために「ついに妻も」と思ったが、思想は自由と、妻の言動をいさめることはしなかった。
しかしSNS上の「コミュニティ」で、同様の思考を持つ人々との交流を深めていった妻は、どんどん、荒唐無稽にもほどがあるような事を口走るようになった。そして、性格まで変わっていったと振り返る。
「妻は、コロナウイルスは存在しないし、支配者層の陰謀だと話すようになっていました。でも、頭ごなしに否定しても仕方ないと思っていました。そのうちコミュニティで知り合った人と外出するようになったので、何をしに言っていたか問いただすと”PCR検査”を受けていたと言うんです」(坂口さん)
コロナは存在しない、という主張なのに何故? と感じたが、妻は満面の笑みでこう告げてきたという。
「PCR検査を一回受けたら、500円のクオカードがもらえるから行ってきたと言うんです。しかも、検査は同日でなければ何度接種しても大丈夫で、アルバイトにちょうどいいと笑っていました。普通に考えたら絶対におかしいし、一歩間違えば犯罪に荷担してしまいかねない。そんなこともわからないのかと怒鳴りましたが、逆に私がものを知らないような言い方をされました。妻はコロナで、そしてあのコミュニティに加わり行動をともにするようになって、私が知らない人にでもなったかのようです」(坂口さん)
この「検査すると対価が得られる」仕組みは、やはり問題だったようで、一部メディアが問題視して報道したこともあった。社会的には非難されることだというコンセンサスはあると思うのだが、それでも妻は悪びれることがない。今では、坂口さんが妻に三行半を突きつけている状況なのだという。