ストルイピンの言葉を都合よく変えて引用する(Getty Images)
舛添氏が続ける。
「1907年にストルイピンは、国会議員に対して、『諸君に必要なのは偉大なる変革だが、われわれに必要なのは偉大なるロシアだ』と批判しますが、これもプーチンのお気に入りの文句なのです。2011年に、このフレーズを真似て、プーチンは『われわれに必要なのは偉大なる変革ではない。偉大なるロシアだ』と述べています。
1907年に、外国人記者のインタビューに答えて、ストルイピンは『国家に20年の内外の平静が与えられれば、改革事業が完成し、ロシアは見違える姿に変わるだろう』と述べました。プーチンは、『私に20年間を与えてくれれば、ロシアは見違える姿に変わるだろう』と自分に都合の良いように変更して引用しています」
「偉大なるロシア」に固執するプーチンは、革命後のロシアを恐怖で支配したソ連の独裁者・スターリンをも手本にしている。プーチンが甦らせた「スターリニズムの亡霊」が、ウクライナをはじめ世界を危機に陥れようとしている。
【プロフィール】
舛添要一(ますぞえ・よういち)/1948年、福岡県北九州市生まれ。1971 年東京大学法学部政治学科卒業。パリ(フランス)、ジュネーブ(スイス)、ミュンヘン(ドイツ)でヨーロッパ外交史を研究。東京大学教養学部政治学助教授などを経て、政界へ。 2001年参議院議員(自民党)に初当選後、厚生労働大臣(安倍内閣、福田内閣、麻生内閣)、東京都知事を歴任。著書に『都知事失格』、『ヒトラーの正体』、『ムッソリーニの正体』、『スターリンの正体』など。