最初は電気槍での捕獲を試みたという
野生イノシシの大捕物があった秦野市は、東京都心から急行で1時間余り、同じく横浜からも1時間ほどのベッドタウン。人口約16万人を擁する地方都市だが、市の北部には自然豊かな丹沢山地があり、多くの野生動物が生息している。
緑地保存されている原生林や山から下って市内を流れる水無川を伝い、市街地に迷い込んでくるイノシシ、シカ、サルなどの野生動物が定期的に報告されており、市では鳥獣被害対策担当の専門部署を設けて地元猟友会と連携し、駆除に当たっているという。
「イノシシについては、くくり罠や箱罠を使って年間100頭ほどを捕獲しています。市街地での目撃は繁殖期で興奮状態になっている秋口に多く報告されます。繰り返し現われて人に慣れきってしまった個体もいて、人がいても逃げないどころか、無視して農作物を荒らし続けるイノシシやシカもいます」(岩田氏)
まさに害獣と化しているが、一方、駆除した動物の利用も始まっている。
「今回のように『止めさし』をしたイノシシやシカは近隣のジビエ処理加工施設に運び、食肉加工を行ないます。これらは“秦野産ジビエ”として、市内の精肉店や地元の飲食店などに利用してもらいます。鮮度もよく、美味しいと大変好評です」(岩田氏)
(後編につづく)
※週刊ポスト2022年12月16日号