「キャンディ5150」の名で販売されていたという(時事通信フォト)

「キャンディ5150」の名で販売されていたという(時事通信フォト)

1粒で2500円

 この男性が語るように、キャンディの効果は流通しているED治療薬を大きく上回るようだ。全国紙社会部記者が言う。

「購入者の話を聞くと、『硬さと(効果が続く)長さがケタ違いに凄い』などと言っていました。またバイアグラやシアリスなどの錠剤は空腹時に服用することを推奨されていますが、この飴は空腹状況に関係なく効果があるそうです。バイアグラほどの即効性はなく効き目が出るのに2~3時間はかかる。

 1粒2500円程度の価格でフリマアプリなどで売られており、そこから購入する人が増加しています。飴の形状のため、溶けないように冷蔵庫で保存する人もいるようです」

 当然ながら、適正量の8倍のタダラフィルが含まれるということは、リスクを伴う。窪田徹矢医師(「くぼたクリニック松戸五香」院長)が解説する。

「タダラフィルは(1日の最大量の)20mgで36時間も効き目が持続します。効果時間が長いものをたくさん服用するということは、その分、成分の血中濃度が上がる。薬で血管を拡張させて勃起させるわけですが、この時、ほかの全身の血管も拡張させることになり、血圧が急激に下がることになります」

 その負担は、基礎疾患のある高齢者ほど大きくなる。窪田医師が続ける。

「急激な血圧低下は立ちくらみを引き起こします。また心臓に負担がかかり、不整脈になって心室細動や心不全を起こし、最悪の場合は腹上死することもあります。基礎疾患として高血圧、糖尿病、高コレステロールを持つ方は、一般に動脈が硬くなっているケースが多く、急激な血圧低下に対応できずに症状が重くなるリスクが想定されます。この未承認薬は、副作用が起きても救済制度はなく、飲まないほうがいい」

 まさに“禁断の薬”。その代償は計り知れない。

※週刊ポスト2022年12月16日号

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