かねてから自民党の“異端児”として歯に衣着せぬ物言いで注目を集めてきた
岸田政権で劣化が加速
──いつも多数派を敵に回して、身の危険を感じることはないんですか?
「これだけ体が大きいと標的としては楽だよね」
──笑えません……。「自民党は変質してしまった」というのが村上さんの持論ですが、どう変わったのでしょう。
「私が初当選した時の中曾根康弘総理が立派だったのは、後藤田正晴さん(当時の官房長官)をはじめ価値観がまったく違う人を重用する度量があったわけよ。党の部会に出ても、一回生から十回生まで平等に発言権がある。党税調のボスだった山中貞則先生に30代の私がモノ申しても、誰にも怒られないんだ。
それが、2012年に安倍さんが総裁に返り咲いてから、イエスマンか、お友達ばかりを集めて、人事をたらいまわした。その結果、誰も異論を言えなくなっちゃった。
私は、岸田文雄さんはもうちょっとましだと思って、総裁選でも応援したけど、結局は安倍さんの言いなりで、独自色がいまだに出ていない。(自民党の)劣化がますます加速しちゃった」
──第二次安倍政権が自民党の分岐点だった?
「いや、小泉純一郎さんの郵政選挙だよ。民営化に反対した人は公認を外され、刺客を送られたじゃないですか。それで犠牲者がいっぱい出た」
──当時は行政改革担当相でした。島村宜伸農相らとともに閣内から反対を唱え、最終的には閣議で署名に応じました。
「小泉さんは小選挙区制導入に最後まで反対した人だけど、自分が総理になったら権力行使のために小選挙区制を最大限に利用した。
あれから為政者に逆らうと選挙で落ちるというトラウマが党内に広がったんですよ」