逮捕者が出ているにもかかわらず強盗事件が連続しているのも、実行犯が闇バイトで集められているからだという。
「普通、捜査の手が及びそうになったら、犯罪組織は一旦犯行をストップするはずです。ですが、今回は凶行が止まらない。それは、実行犯が逮捕されても指示役まで捜査の手が伸びないことや、いくらでもSNSで募集をかければ実行犯が集まることの証左でしょう。しかも、一度実行犯となったら、犯罪をした事実を指示役に握られるため、足抜けができず、さらに犯行を重ねることになる」(前出・櫻井氏)
指示役である犯罪グループはどのようにして強盗の標的を定めているのか。そこには、情報グループが作成する「ターゲットリスト」が存在する。櫻井氏が続ける。
「詐欺に引っかかりやすい高齢者や、お金を貯め込んでいる資産家をリスト化したものが、犯罪グループの手に渡っているのです。これまでは、それをもとに特殊詐欺を働いていました。しかし、摘発が相次いだり、金融機関や郵便局の窓口でも防犯意識が高まって成功率が下がった。そのため、強盗に入るという直接的な手段に訴えるようになっていると考えられます」
情報グループは、リストの作成を不動産や金融資産への投資のアンケートといった名目で行っているという。
「名前や住所、電話番号、年収や現金資産の有無はもちろん、既婚か独身か、家族構成などもまとめられています。最近では、“介護施設に関するアンケート”が行われています。“多額の入居費用を払う蓄えがあるか”といった質問に加え“子供から援助してもらえるか”といった質問を通して、家族の状況や子供の資産状況、稼ぎなども芋づる式に把握し、丸裸にするというわけです」(全国紙社会部記者)
犯罪グループは、リストをもとに、ターゲットの生活サイクルなどを把握するために実行役を集める。狛江の事件でも、近隣では1年ほど前から屋根のリフォームを呼び掛ける人物が複数うろついていたという。だが、本来であれば家主の「不在」を把握するためのうろつきが、一連のケースでは逆の意味で使われている。
「空き巣は捕まるリスクを小さくするために不在を狙いますが、強盗団は在宅のタイミングをあえて狙っています。縛り上げた上で金の在り処を聞き出すためでしょう。そして、そのためには暴力を躊躇しない連中です」(前出・櫻井氏)
犯罪の巧妙さは捜査といたちごっこだ。だが、今回の連続強盗団は、むしろ粗暴な手口に傾いていると言っていい。この瞬間も、犯罪グループは闇の中で蠢いている。
※女性セブン2023年2月9日号