2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏
調教師にとって一番忙しいのは水曜日。レースに向けて最後の調整で時計を出す追いきりがあるし、その結果を判断しつつ馬主さんと連絡をとらなければならないし、報道への対応もあります。で、木曜日に出馬投票をして出走が確定すると、金曜日は最終調整です。
日曜日の朝も追いきりがあり、出走がある日は、それから競馬場に行きます。競馬場では出走の1時間前に装鞍所というところに行って馬体検査などを受け、運んできた鞍を着けるのが大きな仕事。パドックでは、ジョッキーが跨る前に、装備をしっかり確認します。
ジョッキー時代は何鞍も乗るから、レースが終わったらすぐ次へと切り替えなければいけなかったけれど、調教師になってからは勝てなかった時など、何が悪かったのかといつまでもくよくよ考えています。うまくいかないのが当たり前だって、自分を慰めたり……それが大きな違いですね(笑)。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年2月3日号