組長の子供とピース。マルティーナ氏の運命を変えた瞬間だ

組長の子供とピース。マルティーナ氏の運命を変えた瞬間だ

♦ヤクザ研究は「日本らしさ」で

 マルティーナ氏は、直接ヤクザを取材し、フィールドワークを行なっているのだろうか?

「それは秘密です(笑)。私がヤクザの研究をしていることは、大学もわかっています。そして日本の大学はコンプライアンスをとても大事にしています。赴任したとき、暴力団との接触を禁じ、一緒に飲食しないように言われた。大学の立場を考えればそれもわかるから、ここは日本の政治家の真似をしましょう。取材はしているけど、だからといって接触しているとは限りません(笑)。

 あと、マスコミからコメントを依頼されても受けるな、取材に応じるなとも言われてます。
私は日本の流儀を体験しているから、こう解釈しているんです。大学はダメと伝えた。ちゃんと伝達した。日本ではそのアリバイ作りが重要視される。実際、その後はなにも聞かれませんし言われません。私は社会学の研究をしてるのだから必要な調査はします。それは大学にもわかっていて。アカデミアである以上、研究をするなとは言わない。あとは自分で判断する。阿吽の呼吸です。それが日本らしさですよね?

 犯罪学なので警察の調査もしたいのですが、ここでも日本らしさに出会います。日本で街にいる警察官に質問しても答えてもらえません。同じ警察官でも場所によって、土地によって違うはずだけど、細かい実地調査は困難です。

 他の国……たとえばイギリスなら簡単に出来るんです。短い質問やアンケートは、ほぼみんなが答えてくれる。実際、イギリスでは数百人の警察官から回答をもらった。そのデータを元に研究を進められるけど、日本の警察に質問したら、警察白書を出して「何ページにこう書いてあります」と言われて終わり。だから警察への聞き取りはとても面倒で時間がかかるし、私が欲しい細かいデータは得られない。そこはとてもやっかいで面倒ですが、警察の上層部が話せと言ってくれれば、たぶん、一気に取材が進むでしょう。ひとつひとつドアを開けていくしかない。それだけです」

 マルティーナさんは、日本人以上に日本人を理解している。

第3回に続く第1回から読む

ヤクザ研究に邁進してほしい

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陽気なマルティーナ氏

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鈴木智彦も思わずリスペクト

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