寮に関しては野球部が活動休止となった2016年の時点で、男子が暮らす金剛寮は生徒数激減の影響もあってフロアを限定して使用していた。それは女子が暮らす葛城寮も同じような状況だろう。ただ、数は減ったとはいえ、数年前から耐震性の問題が明らかになった状態のまま生徒たちを住まわせていたことになる。
「なかなか対応が難しかった。現時点で取り壊す予定もありませんし、新たに建てるということも……」(川上氏)
PL学園の敷地には2009年に廃校になったPL学園女子短期大学の校舎など、再利用されることもないまま、廃墟と化した建物が林立している。PL教団の一等地にある硬式野球部のグラウンドも、駐車場にする計画を耳にしていたが結局は放置され、現在は芝が荒れ放題の状況だ。
PL教団では2021年に三代教祖・御木貴日止(みき・たかひと)氏が死去し、後継者を見つけられないまま教祖不在の異常事態が続く。信者数が激減する教団と、わずかな生徒しかいない学園に財政的な余裕がないことは想像に難くない。耐震問題によってまたいくつかの廃墟が生まれたとしても、学園生の住処だけは早急に確保しなければならない。
※週刊ポスト2023年3月3日号