織田裕二もベテラン刑事に
今シーズンは、もう一作、平成の名刑事を思い出させるドラマがあった。BSプレミアムで放送された『ガラパゴス 前後編』。主演は織田裕二だ。
鑑識課の若手刑事・木幡(桜庭ななみ)から、身元不明遺体の調査を頼まれた田川(織田)は、 練炭自殺したとされたのが仲野定文(満島真之介)で、実は殺されたと見抜き、捜査を始める。
長く派遣社員だった仲野の過酷な日々を追ううちに、あぶりだされる貧困の構図と巨悪。田川は激しく怒りながら、それでも静かに取調室で「あなたにしかできません」「関与を認めたととらせていただきます」と被疑者を追及する。胸打たれるドラマだった。
ガラケーを使い、眼鏡で書類を読む織田裕二の刑事姿を見ることになったのは感慨深いが、スチール机だけの殺風景な取調室でくせ者の被疑者と根気強く向き合う姿は、『踊る大捜査線』で共演したいかりや長介が「落としの水さん」という名刑事役で1994年~2003年に主演したドラマ『取調室』シリーズを思い出させた。
若手刑事が走るドラマもいいが、西島、織田、ふたりが魅せたベテラン刑事の味も、また心にしみるのである。
西島秀俊の好演が光る