芸能

西島秀俊と織田裕二が見せた「ベテラン刑事の味」 春ドラマで思い出した藤田まことさんといかりや長介さんの名刑事ぶり

西島秀俊の海外志向は強まるが…

『警視庁アウトサイダー』が話題の西島秀俊

 今期のドラマでは数々の話題の作品が生まれているが、刑事もので存在感を発揮したのが西島秀俊と織田裕二だ。2人が見せた「ベテラン刑事の味」についてコラムニストのペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 小ネタ満載で話題のドラマ『警視庁アウトサイダー』。元マル暴のおやじ刑事・架川(西島秀俊)と秘密を抱えるエース刑事・蓮見(濱田岳)、安定志向で警察官になった新人刑事・水木(上白石萌歌)の三人が、事件解決を目指しながら、過去の事件を巡る復讐劇もからむ。

 架川の兄貴分の藤原警部(柳葉敏郎)が殺され、ものすごくシリアス展開なのだが、架川が血を見ただけで卒倒するなどカックンとなる場面も多数。そこに刑事たちが愛飲する缶コーヒーが、「しげるのブラック」で松崎しげる柄、「イサオの微糖」で尾藤イサオ、「超カフェラテ」の名前が「欧陽珈琲」で写真はもちろん欧陽菲菲といった具合に小ネタが散りばめられているので、油断できないのである。

 第7話も西島が変身した「仮面ライダーBLACK SUN」とクジラ怪人役だった濱田岳を思わせるシーン、松崎しげるが本人役で出てくるなど、うっかりすると肝心の事件を見失いそうになるほどのネタの連射だった。

 そんな中、忘れてはいけないのが、架川が敬愛するドラマ『はぐれ刑事純情派』(1988年~2009年)の安浦刑事(藤田まこと)の存在だ。

 第1話、桜町中央署に飛ばされた架川が、自分のデスクに座って最初にしたことが、藤田まことのサイン色紙を飾ること。スマホの着信音は『はぐれ刑事』のテーマで待ち受け画面には安浦刑事の姿と番組のタイトルロゴがバッチリ。電話がかかってくると、安浦刑事を拝んでから応答する徹底ぶりだ。

 なお、安浦はお洒落なスーツや拳銃とも無縁で、家に帰れば、亡き妻の連れ子で年ごろの娘二人に囲まれ、外ではいきつけの店のママ(眞野あずさ)といい感じという生活感たっぷりの人情派。常にサングラスと長いコートで威圧感いっぱい、1話のラストでいきなり蓮見に拳銃を向けた架川はまったく違うタイプに見えるが、根は人情派らしい。

 筆者は、『はぐれ刑事純情派』の取材をはじめ、多くの現場で藤田さんにお世話になった。『はぐれ刑事純情派』シリーズでデビューした西島の思いと小ネタを見たら、面白がりの藤田さんは大いに喜んでいたと思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン
2050年には海洋プラスチックごみが魚の量を上回ると予測されている(写真/PIXTA)
「マイクロプラスチックが心臓発作や脳卒中の原因になりうる」との論文発表 粒子そのものが健康を害する可能性
女性セブン
攻撃面では試行錯誤が続く今年の巨人(阿部慎之助・監督)
広岡達朗氏が不振の巨人打線に喝「三振しても威張って戻ってくるようなのが4番を打っている」 阿部監督の采配は評価するも起用法には苦言
週刊ポスト
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
京急蒲田駅が「京急蒲タコハイ駅」に
『京急蒲タコハイ駅』にNPO法人が「公共性を完全に無視」と抗議 サントリーは「真摯に受け止め対応」と装飾撤去を認めて駅広告を縮小
NEWSポストセブン
阿部慎之助・監督は原辰徳・前監督と何が違う?(右写真=時事通信フォト)
広岡達朗氏が巨人・阿部監督にエール「まだ1年坊主だが、原よりは数段いいよ」 正捕手復帰の小林誠司について「もっと上手に教えたらもっと結果が出る」
週刊ポスト