国内

「マイクロプラスチックが心臓発作や脳卒中の原因になりうる」との論文発表 粒子そのものが健康を害する可能性

2050年には海洋プラスチックごみが魚の量を上回ると予測されている(写真/PIXTA)

2050年には海洋プラスチックごみが魚の量を上回ると予測されている(写真/PIXTA)

 ペットボトル、ストロー、ビニール袋、カップ麺の容器、そして自動車まで……。発明から150年以上経ったいま、プラスチックは豊かな生活のためになくてはならない存在として広く用いられている。しかし、その便利さと引き換えに、健康への悪影響もあるという。プラスチックと健康についてレポートする。【前後編の前編。後編を読む

 持続可能な開発目標「SDGs」が市民権を得て久しいいま、環境保全への取り組みはますます活発化している。

 中でも広く浸透しているのは、プラスチックごみ対策だ。レジ袋や使い捨てコップを減らすため、多くの人がエコバッグやマイボトルを持ち歩くようになった。

 環境に対する意識が高まる一方で、こんな声も聞こえる。都内在住のAさん(52才・仮名)が嘆く。

「ファストフードやレストランで渡されるのが紙ストローになり、ザラザラした舌触りがどうにも慣れません。エコが大切なのはわかりますが、ストローを変えて一体どれだけの効果があるのか……。できれば以前のプラスチック製に戻してほしいです」

 だがこの先、そんな不満はあっという間に過去のものになるかもしれない。プラスチックが健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されているのだ。

1週間あたりに摂取するプラスチックの量はクレジットカード1枚分に相当する

《プラスチックが心臓発作や脳卒中の原因になりうる》。そんな論文が発表されたのは、3月6日付の医学誌「The New England Journal of Medicine」だ。

 同論文によると、イタリアのカンパニア大学の研究チームが、「脳に血液を運ぶ動脈にたまったプラーク(脂肪の多いコレステロール)の除去手術」を受けた257人のプラークを調べると、半数以上からマイクロプラスチックが検出された。マイクロプラスチックとはプラスチックごみが微細化したもので、大きさが5mm未満のものをいう。その後、同研究チームが257人を34か月にわたって追跡調査すると、プラークからマイクロプラスチックが検出された人は検出されなかった人に比べて、心臓発作や脳卒中を起こしたり、さらに何らかの原因で死亡する可能性が約4.5倍も高かった。

 この研究の意義について、米ボストン在住の内科医・大西睦子さんが語る。

「これまでもプラスチックに含まれる化学物質が溶け出し、ホルモンなどの内分泌系の働きを乱す可能性があることについては指摘されていました。しかし、プラスチック粒子そのものが直接人間の健康を害し、死亡リスクを上げることを明らかにしたのは、今回の論文が初めてです」

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン