コロナ禍で化粧する女性が減ったということですが、私は逆にちゃんと化粧をするようになったクチです。誰にどう見られるかではなく、自分が見たい自分になりたい。私の顔の「顔幅が広い」「ほうれい線が濃い」「眉毛と目が離れている」という個性を、印象として相手にあまり残したくないと考えています。
いまは顔剃りと眉カットに月1で通っていて、腋毛、腕毛、スネ毛は必要に応じて剃り、VIOは整えます。体については「うまくやれてる」感があるんですが、顔面は口ヒゲだけでなくあごヒゲまで生えてくる悩みが生じ、引き続き「対戦」という感じです。
体毛と一口にいっても、部位によって「生やすと素敵、生えていてOK、生えていると恥ずかしい、生えていると不快」くらいに分かれると思っています。自分か、好きな相手か、赤の他人かでも変わってくるでしょう。
それでいうとその昔、遠距離恋愛をしていた彼に別れを切り出したときに彼から「お尻にけっこう大きいほくろがあって、毛が生えとるんよ」と言われ、グッときたことがあります。彼とはキスまでしかしたことがなかったので、この人のお尻とほくろの毛を見ておくんだった、と少し後悔しました。恋人など親しい人だけが知る秘密の体毛は愛しいものかもしれません。
【プロフィール】
佐藤文香(さとうあやか)/俳人。夏井いつき氏による俳句の授業をきっかけに句作を開始。現在は池田澄子氏に師事。著書に『菊は雪』(左右社)、編著に『俳句を遊べ!』(小学館)など。
※女性セブン2023年3月2・9日号