スポーツ

力道山未亡人の実弟が明かす「JAL合格通知」が届いた瞬間【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#16】

2023年3月7日「アントニオ猪木お別れ会」(筆者提供)

敬子さんも参加した2023年3月7日「アントニオ猪木お別れ会」(筆者提供)

日本プロレスの父力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で39年間の太く短い生涯を終えたしかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第16話ではついに吉報が訪れるここから人生は激動に入っていく。連載の第161回から読む】 

  * * * 

16話「合格通知」 

 駿台予備校に通う総武線の車内で「日本航空客室乗務員・臨時募集」の貼り紙を見て「大学受験の予行演習のつもり」で受験に臨んだ予備校生の田中敬子は、1次の筆記試験を難なく突破し、2次試験の面接で「君は皇后陛下に似ている」と言われ、頭の中が真っ白になるハプニングもありながら、これもどうにかクリアした。 

 次なる難関は体力測定と健康診断で、いずれも自信があった。何しろ健康優良児である。神奈川代表に選ばれる倍率を思えばどうということはなく、スチュワーデスの椅子は目前だと思った。 

 まず、慈恵医大に集められ健康診断が行われた。視力検査は両眼とも1.2。問題はなかった。ちなみに、81歳になった今も1.2のままである。 

 1次の筆記試験と2次の面接を一緒に通過した帰国子女がいた。容姿端麗で英語もペラペラ、「ああ、きっとこういう人が受かるんだろうな」と敬子は憧憬の眼差しで彼女を見つめた。 

 しかし、彼女の姿は途中で見えなくなった。まさか落ちたとも思えない。一体何があったのだろう。数日後、彼女と顔を合わせた。 

 「どうしたの、途中でいなくなって」 

 敬子がそう訊くと、彼女はばつが悪そうにこう答えた。 

「実は私、コンタクトレンズしてたの。それがバレちゃって」 

「えー、そうだったの」 

「黙ってたんだけど、すぐに見破られちゃってさ」

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン