「明らかに見た目が変わった子がいて、こっそり親御さんに相談したんです。保護者が承諾もされていると分かったので、学校側としては強く言うことはありませんが、子供の美容整形をゆるしたことは、親御さんもバツが悪いようで歯切れが悪かったです。でも、見た目が変わった生徒にこっそり、どこのクリニックでやったのか、値段はいくらだったのか、聞きにきている生徒もいます」(福田さん)
仮に強制的に未成年の美容整形を法律などで禁止にしたとしても、より悪質な抜け道を行こうとする子供が出現するだけだろう。親の承諾書なしで未成年に施術するようなクリニックは医療としての水準に疑問を持たざるを得ないが、子供達の足はそちらに向かう可能性が高い。では、ずさんな医療の被害に遭うリスクを排除するためにも、未成年者が安全に美容整形を受けられるような仕組みを拡充すればいいかというと、物事はそう単純にはいかない。
美容整形の施術は契約書をむすぶ行為のため、法律で定められた未成年者保護のため親権者の同意が必要となっている。もしこれを変更するとしたら、借金や高額な商品購入なども考慮した法改正が必要になるのだ。成人年齢が18歳になったことを狙ったかのように若年者の消費者トラブルが増えていることを思えば、簡単に変えられる法律でないことは誰もが同意するだろう。とはいえ、法律で決まっていることと、当事者の感情はまた別だ。整形をしたい子供たちと、せめて大人になるまで待って欲しい親のあいだで起きている気持ちのすれ違いはどうしたらよいのか。
子供世代と親世代でまるっきり違う美容整形への認識。世論を巻き込んだ議論はまだまだ続きそうだ。