作詞・作曲・編曲を手掛けるマルチ音楽コンポーザーの梶浦由記氏
――そのセリフの雰囲気やイメージに合わせて、音を変えていくこともありますか。
梶浦：そうですね。劇判はすごく繊細なものなので、「声の低い人のときは低い音で始めない」とか、「女の子のときはあんまり高い音で始めない」とか、声の邪魔にならないようにする必要もありますし。
――徹底して考え抜かれて臨まれているんですね。
梶浦：せっかく作品に関わるからには、やはり最高の作品になってほしいなと思います。一番のファンになって応援する気持ちで作るので。だから、音楽を入れることを有意義にしたいという気持ちは強くありますね。音楽を入れることで、みんなが望む方向に作品を後押ししたいなっていう責任感みたいなものは、すごくあります。
私は「好き」という気持ちがエネルギーになるので、まず「好き」探しから始めます。一読者になって、私はこの作品の一番どこが好きだろうっていうところがスタート地点ですね。
【プロフィール】
梶浦由記（かじうら・ゆき）／作詞・作曲・編曲を手掛けるマルチ音楽コンポーザー。1993年「See-Saw」のコンポーザー兼キーボーディストとしてデビュー。現在はアニメを中心とした劇伴音楽を手掛け、「ソードアート・オンライン」、「魔法少女まどか☆マギカ」、「鬼滅の刃」等、数々の話題作を担当。
【聞き手・文】
春日太一（かすが・たいち）／1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
撮影／藤岡雅樹
※週刊ポスト2023年4月7・14日号
