爆発的に増加する超加工食品の摂取量
がんだけでなく、ほかの病気を発症するリスクも増す。
「2019年のパリ第13大学などの研究では、1日の摂取カロリーに占める超加工食品の割合が10%増加すると2型糖尿病のリスクが15%増えました。さらに、超加工食品摂取の割合が10%増加するごとに心臓血管系疾患のリスクが12%上昇した。
2021年のスペイン・マドリード自治大学の研究では超加工食品の摂取が最も多いグループは、最も少ないグループに比べて腎臓機能が低下する確率が74%高かった。超加工食品の摂取が認知症やうつ病と関連するとの研究もあります」
膨大な論文を読破した大西さんが特に注目するのは、超加工食品と「食べすぎ」の関係を調べた研究だ。
米国立衛生研究所の研究者などが2019年に発表した論文には、参加者に超加工食品か未加工食品のどちらかを1日3食、2週間続けて食べるように指示する実験が紹介されている。
参加者の食事時間は1回1時間。その間に割り当てられた方の食品を好きなだけ食べることができる。実験の結果、超加工食品を2週間食べ続けた人は未加工食品を2週間食べ続けた人に比べて、1日の摂取カロリーが約500kcal多かった。また、超加工食品を食べ続けた2週間の間で被験者の体重が約0.9kg増え、未加工食品を食べ続けた2週間の間には逆に体重が約0.9kg減った。
「未加工食品を食べている間は血中の食欲を抑制するホルモンが増え、食欲を増進するホルモンが減ることもわかりました。なぜ加工の有無で効果に違いが出るのかは不明ですが、超加工食品が過食と肥満につながる可能性が示されました」
ハーバード大学の研究者らが2022年に発表した論文によると、子育て中の母親が超加工食品を多く摂取すると、子供が肥満になりやすかった。メカニズムは不明だが、論文は、育児中の母親の食事内容と「子供の食事とライフスタイルの形成」に相関関係がある可能性を指摘している。
※女性セブン2023年4月27日号
加工食品との上手な付き合い方リスト