サインを見られないように工夫するのは当然

 さらに私は令和の時代におけるサイン盗みの実態を調べるべく、指導経験が豊富な複数の高校野球関係者に話を聞いて回った。

 昭和の時代から高校野球の現場にいたベテラン指導者が話す。

「監督らの指示でやっているかどうかは別として、もし相手捕手からサインが盗めるのならば、力のある選手たちはそりゃあ勝手にやるでしょうね。守る側も、ランナーコーチにサインを見られないように工夫するのは当然として、イニング毎にサインを変えたりするのは当たり前の対策です。つまり、隙あらばサインを盗み、守りでは徹底してサイン盗みを警戒する。そうでなければ甲子園は勝ち上がれません」

 そしてこのベテラン指導者は、二塁走者やランナーコーチ以外に、意外な人物がサイン盗みに関与するケースもあると証言する。

「それはボールボーイです」

後編へ続く】

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