スポーツ

高野連は「サイン盗み」問題を放置するのか センバツから見えてきた高校野球の暗部

たびたび問題化してきたが、改善策はあるのか(センバツ甲子園の開会式。写真・時事通信社)

たびたび問題化してきたが、改善策はあるのか(センバツ甲子園の開会式。写真・時事通信社)

 かつては当たり前に“技術”として認められていたが、今はルールで禁止されている。それが高校野球における「サイン盗み」だ。その一方で、相手チームがサインを盗んでいるのではないかという“疑惑”が浮上するのは珍しいことではない。実態はどうなっているのか。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。【前後編の前編】

 * * *
 高校野球の世界には、公然の秘密たる闇が存在する。

 それは「サイン盗み」だ。攻撃側が相手バッテリーのサイン交換を盗み見て、打席に入った打者に球種を伝える行為である。無論、禁止行為だが、春夏の甲子園ではたびたび、「サインを盗まれているのではないか」という選手や監督らの訴えによって問題化してきた。

 この春のセンバツにおいても、ある高校の捕手がある日の試合後の取材で、こんなことを漏らした。

「自分のサインを出す(右手の)位置が前に出ていて、ランナーコーチにそれを見られていた可能性がある。グローブで隠すなど、見られないように意識すべきだった。今日は自分のミスで負けてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 連打を浴びて大量失点をしてしまったイニングを振り返り、相手校にサインを盗まれていたかもしれないと示唆したのだ。

 サイン盗みといえば二塁走者が捕手のサインを見て、打者にジェスチャーで伝達するパターンを想像する人が多いだろう。今回のケースでは右打者の場合は一塁側のランナーコーチが、左打者の場合は三塁側のランナーコーチが、投手に対して出す捕手のサインを盗み見て、なんらかの形で打者に伝えていたということだった。ランナーコーチを使ったサイン盗みは二塁走者が行うサイン盗みとは異なり、走者がいようがいまいが関係なく、回の頭から打者に球種を伝えることが可能となる。

 直球か、変化球か。基本的にはそのどちらかを打者に伝えるのがサイン盗みだ。それだけで、タイミングを計っている打者には大違いである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン