大竹しのぶ
今回の松子は、巫女とは対照的に資産家の娘で身なりもきっちりしている(個人的には、松子の髪型が、もう少しブワーっと風船のごとく大きくても威圧感が出てよかったなと思う)が、常に口はへの字。巫女の時と同じだ。大竹しのぶが、への字にした口先だけでしゃべる時は、とっても怖い。改めて実感した。
役作りのため、大竹は松子が得意とする琴の稽古に励んだという。どんよりと暗い森、湖の湿気、寒々しい犬神家の屋敷の廊下、そこに松子が一心不乱につま弾く琴の音が響き渡る。まさに満を持しての松子役。後編では、「湖からにょっきり二本の脚が」という『犬神家の一族』にはなくてはならないシーンも出てくる。すさまじい展開になることは間違いなし。令和の世をぞくぞくさせる「犬神松子」の姿を、見届けねば。