保存会本部には秋田犬も(時事通信フォト)

保存会本部には秋田犬も(時事通信フォト)

保存会会長は「市に不信感」

 大館市としては保存会側に再請願の手続きが見られなかったため、やむを得ず不採択になったという。一方、保存会側はどう答えるのか。遠藤会長に話を聞いた。まず、きっかけになった秋田犬会館の改修についてはこう語る。

「会館には保存会の本部がありますが、3階に博物館があるんです。会館近くに石田ローズガーデン(バラ園)という観光施設があるんですが、4年前に大館市の福原(淳嗣)市長とも話していて、『1階に博物館を置けばローズガーデンとの導線になる』と言い出したんです。こちらとしても1970年代に建てた建物ですし、たしかに高齢者や観光客にも不便なので。市長とも何度も話をしていて『これはもうやっていきましょう』という話だった」

 しかし、それからなかなか話が進まず、遠藤会長も苛立ちを募らせていたという。

「そしたら、今度は『議会に請願を出してほしい』言われて。で、出したら2年半~3年くらい放置されて。あるとき急に審議しだして、全会一致で不採択になったんですよ。ハガキ一枚送られてきて、『不採択になりました』って。それだけ。(議会から『いくら市が負担するのか明らかにして欲しい』などの再請願依頼が届いているのではないか?)いや、全くない。何もない。電話1本もない。そもそも費用も市側が言い出したんだから、市が負担するもんだと思っていた。

 不信感を持っているときに大仙市からオファーをいただき、温かい声もいただいた。そもそも保存会がなければ大館犬はとっくになくなっているんです。保存会あっての秋田犬で、大館市あっての秋田犬ではない。それが(市側は)分かっていないのではないか。議会が全会一致で反対するのであればね、大館市民の民意に考える機会になればいい。だから大仙市にしたんです。この話を市長らとやりとりしてたのは僕なんで、僕が決めました」

 伊藤市議は議会を代表して保存会側に再請願の伝達をしたといい、遠藤会長はそんな話は一切来ていないと双方の主張は正反対。溝は深い。

 当然、この対立は保存会会員たちの間でも話題になっている。ある会員はこう口にする。

「正直な話、市と保存会、どっちの言い分が正しいかは分からない。ただ、会員のほとんどは双方和解して、伝統ある大館市で開催してほしいというのが本音ではないか。しかし、いまはそうした主張もできない状況に置かれている。ある会員がTwitterで保存会の対応を批判したところ、保存会の関係者から『投稿を削除しなさい、さもなければ処分する』という連絡があったと聞いている」

 別の会員はあきれ顔でこう語る。

「こんなゴタゴタを続けているようでは伝統も失われていく。保存会としても海外の会員が増えていることは確かだが、飼育に必要な敷地の問題や小型犬の人気もあって日本人の会員は減っている。今回の大仙市の展覧会に出陳される秋田犬は148頭。例年、大館市で実施されていた春の本部展では180~200頭くらい出陳していたのでかなり少ない。秋季に地方で開催される本部展と同じくらいの数です。大館で開かれる本部展で勝ちたいという人もいるでしょうが、会員の間でもゲンナリしている人は少なくないという証拠でしょう」

 まさに犬も食わない争いになった開催地騒動。来年の開催地はどこに──。

グッズも売っている(時事通信フォト)

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2018年、秋田犬「マサル」を贈呈されたフィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手(AFP=時事)

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マサルの写真を公開するザキトワ(AFP時事)

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どちらも愛くるしい(AFP=時事)

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