滝沢はゴミ清掃員の日常を描いたエッセイがベストセラーになるなど、近年はゴミ清掃芸人としても活躍
滝沢はゴミ清掃員となり、西堀は土木作業などのアルバイトを始めた。滝沢はたまたま友人のツテで職を得たのだが、ゴミ清掃員の日常を描いたエッセイがベストセラーになるなど、近年はゴミ清掃芸人としても活躍している。ただし、THE SECOND以前の約10年間、2人のお笑い関係の仕事による収入はほぼゼロだった。
一つ目の波に乗り切れなかった理由を滝沢はこう分析する。
「あと一歩のところで、すぐ気負っちゃう。僕らのネタはキレ芸なんで、かかっちゃうと、めっちゃ怖くなる。才能の限界というのもあったんでしょうね。それでも芸人を続けてこられたのは、現実を見ないようにしてきたから。それが続けるコツ。この先、どんなに芸人として売れても、僕は仕事はやめませんよ。力が入り過ぎてしまうタチなんで、芸人で食えなくてもゴミ清掃員の仕事があるというくらいが丁度いいんですよ」
西堀は滝沢の変化をこう話す。
「昔は鬼みたいな顔をして舞台に上がって、無理やりにっこりしてた。でも、今の滝沢は心から笑ってますもんね。もうちょっと緊張しろよって思ったくらい」
力み続けてきたからこそたどり着いた破れかぶれ漫才。遠回りしたが、やっと自分たちのスタイルを見つけた。
【プロフィール】
中村計(なかむら・けい)/1973年、千葉県生まれ。ノンフィクションライター。著書に『甲子園が割れた日』『勝ち過ぎた監督』など。近年はお笑い関連の取材・執筆を多く手がける。近著に『笑い神 M-1、その純情と狂気』。
撮影/山口京和
※週刊ポスト2023年6月2日号