議長だった青木容疑者の父は事件を受けて辞任した
親父さんは特攻隊の志願兵だった
事件を受けて、父親の正道氏は議長を辞職した。長年の友人関係にあり、政治家としての活動も支援していたという男性にとっても、痛恨の思いだという。
「正道って呼び捨てにするぐらいの関係でね。もともと、正道の親父さんに可愛がってもらっていたから、家族ぐるみの付き合いで、正道の後援会長もしていた。
(正道氏の)親父さんは、戦争のとき19歳で予科練にいて、特攻隊の志願兵まで行ったんだからすごいよ。沖縄かどっかまで行って出陣するちょっと前に終戦迎えたからさ。亡くなったのはもう10数年前になるかな、孫の政憲も葬式に出てたよ。正道はそういう血を引いているから、俺も議員やろうって思ったんじゃないの。誰もやらないなら俺がやるしかないなって」
被害者を助けられなかったこと、加害者が家族ぐるみの関係であったこと……、いまだに男性はこの現実を受け入れられないでいる。
「早く忘れたいんだよ。政憲はこんな子じゃなかったなあっていう影があるから。何とか間違いであって欲しいという気持ちがまだあるんさ。別に素行悪かったわけでも何でもないしな。ただ人より無口で大人しかっただけで。最近は全然目を合わしてくれないから、軽く会釈ぐらいはするけど。
選挙の時も、正道は『うちのがちょっとまだ世間に出られなくて候補者でありながら誠に申し訳ありません』ということは言っていた。政憲は人前に出るのが好きじゃなくて。選挙の時も1~2度顔出すんだけど、すぐにいなくなっちゃう。家族として出なきゃまずいので。そういう気まずさっていうのはあったな。
奥さんは、明るくて社交的で、お母さんのほうが選挙に出れば正道より当選しそうなぐらいで。積極的に動くしね。妹も遊説カーに乗って応援お願いしますってやってたし。
猟銃を持っているなんて知らなかったけど、今思えば、飼っている犬が紀州犬だから。イノシシ猟に使う犬さ。愛玩犬には向かないのになんでかなと思ったけど、猟銃持っているならそれも理解できるなと。犬は政憲がいつも運動させてたから。よく自転車で短いロープ付けてマウンテンバイクに乗ってずーっと農道のあたり走ってたさ」
男性は事件後、父親の正道氏と短い会話を交わしている。
「避難の放送があった後に、正道が帰ってきて、『政憲かもしれねえで』って話になって。しゃがみ込んでいたから、やっちまったことはしょうがねえけど、まだ万に一つも間違っているかもしれないって思いで見てるよりしょうがないだろって言った。崩れ落ちて、そのあとは頭を抱えていた」
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