ライフ

宮部みゆきさん、俳句をタイトルにした短篇集について語る「小説の国から出張に行く感じでヒヤヒヤしてました」

宮部みゆきさんの新刊『ぼんぼん彩句』

宮部みゆきさんの新刊『ぼんぼん彩句』

【著者インタビュー】宮部みゆきさん/『ぼんぼん彩句』/角川書店/1980円

【本の内容】
「あとがき」には本の成り立ちやタイトルの由来が綴られている。《私たちBBKはまだまだ俳句の「凡手」ですが、お菓子のボンボンのように繊細できれいで、彩り豊かな句を詠みたいと願っています。その句を題材に書く私の短編集も彩り豊かなものになりますように―という願いを込めました》。BBK(ボケ防止句会)メンバー15人の中から選ばれた12人の12句をもとに綴られた短篇はジャンルも様々。17音からこれほど豊穣な物語を生み出す宮部さんのストーリーテラーぶりを堪能しつつ楽しめる。

まったくの素人は私1人と句会を始めてわかった

 俳句をタイトルに掲げて、そこから発想して書かれた短篇を収めた作品集である。SFあり、ホラーあり、家族小説あり。もとになった俳句からは思いもよらない場所に読者を連れて行く。

 宮部さんが俳句に興味を持つようになったのは11年ほど前、作家の倉阪鬼一郎さんの著書『怖い俳句』を読んだのがきっかけだった。自分でも俳句を勉強してみたくなって、友人たちと句会を始めた。

「俳句甲子園を見に連れて行ってもらったり、俳人の方とお会いしたり。いろいろお膳立てもしてもらって、この経験を小説に生かさない手はないと思ったんですが、俳句甲子園を描いた青春小説はすでにあるし、結社の活動を描いたコミックもある。真似っ子になるのは恥ずかしい、どうしよう、とずっと考えていて、自分たちの句会で出た句なら、みんなに許可を取れば作品に使えるから、俳句をタイトルに短篇を書こう、と決めました」(宮部さん・以下同)

 句会のメンバーは同世代の仕事仲間で、もとはカラオケを楽しむ集まりだった。毎回1曲は新曲を必ず歌うことを自分に課す、その名も「BBK(ボケ防止カラオケ)」。俳句をやってみないかと声をかけたところ、全員が「やりたい」と手を挙げ、「BBK」は「ボケ防止句会」も兼ねることになったいきさつがある。

「枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる」「鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす」「異国より訪れし婿墓洗う」

 タイトルになった句は、句会で特選になったものも、逆に1点も入らなかったものもあるそう。どれも、情景が浮かぶ印象的な句だ。

「句会を始めてわかったんですが、まったくの素人は私1人で、実は俳句の経験のある人が多かったんです。大学時代にやっていたとか、編集者として俳人の著者を担当したことがあるとか。ちゃんと勉強していて、私よりはるかに俳句をわかってる人たちでした」

関連記事

トピックス

史上初の女性総理大臣に就任する高市早苗氏(撮影/JMPA)
高市総裁取材前「支持率下げてやる」発言騒動 報道現場からは「背筋がゾッとした」「ネット配信中だと周囲に配慮できなかったのか」日テレ対応への不満も
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
「父と母はとても仲が良かったんです」と話す祐子さん。写真は元気な頃の両親
《母親がマルチ商法に3000万》娘が借金525万円を立て替えても解けなかった“洗脳”の恐ろしさ、母は「アンタはバカだ、早死にするよ」と言い放った
NEWSポストセブン
来日中国人のなかには「違法買春」に興じる動きも(イメージ)
《中国人観光客による“違法買春”の実態》民泊で派遣型サービスを受ける事例多数 中国人専用店在籍女性は「チップの気前が良い。これからも続けたい」
週刊ポスト
競泳コメンテーターとして活躍する岩崎恭子
《五輪の競泳中継から消えた元金メダリスト》岩崎恭子“金髪カツラ”不倫報道でNHKでの仕事が激減も見えてきた「復活の兆し」
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」
米・フロリダ州で元看護師の女による血の繋がっていない息子に対する性的虐待事件が起きた(Facebookより)
「15歳の連れ子」を誘惑して性交した米国の元看護師の女の犯行 「ホラー映画を見ながら大麻成分を吸引して…」夫が帰宅時に見た最悪の光景とは《フルメイク&黒タートルで出廷》
NEWSポストセブン