死亡者数の増加はゆるやか
がん検診の中にも古くて間違った方法は潜んでいる。医療に詳しいジャーナリストの村上和巳さんが語る。
「人間ドックのオプションでよく見る腫瘍マーカーはがんと診断された人が治療方針などを確定するために受けるもので、未発見のがんを見つけるのには適しません。乳がんのマンモグラフィー検査も40才未満の女性に限れば、検診を受けて死亡率が下がったとのデータはなく、健康でも偽陽性と判断されやすい」
長澤さんは「CTを多用する医師は古い」と指摘する。
「CT検査を一度受けるとニューヨーク〜東京間の片道フライト70回分ほどの放射線を浴びます。全身の画像診断をするなら磁気を利用した安全なMRI一択です」
また、がん患者を取り巻く状況も医学の進歩とともに刻一刻と変化している。たとえば以前はがん=不治の病であり、罹患したら仕事をやめ、子供を持つこともあきらめるべきとすらいわれていた。だがそのイメージはもう過去のものになりつつある。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが語る。
「いまは世界中の膨大な研究により、がんは『超悪性』『やや悪性』『割と穏やか』『まったく無害』など多様な形があることがわかり、がん=死というイメージが揺らいでいます。後者2つに分類されたがんであれば命にかかわることはありません。検査法や治療法の概念も大きく変わりつつあり、旧来の常識ではなく新たなエビデンスに基づいた医療を受けることが重要です」
2人に1人がかかる国民病と対峙するために、最先端の医療を知っておきたい。
※女性セブン2023年8月3日号