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ヤンキー雑誌『ティーンズロード』とその時代 アイドル並みの人気を誇ったレディースたちのいま

『ティーンズロード』読者から自慢の車の写真を募った企画。どれも個性的なカスタムが施されている

『ティーンズロード』読者から自慢の車の写真を募った企画。どれも個性的なカスタムが施されている

 1989年。好景気に沸く日本で、進むべき道を探して、特攻服をなびかせ爆走する少女たちがいた。伝説のヤンキー誌『ティーンズロード』に横溢する熱量は、どのようにして生まれたのか。

『ティーンズロード』誕生秘話

「三浦海岸でグラビア撮影をした帰りに大渋滞に巻き込まれ、事故かと思ったら暴走族の爆音が聞こえてきた。走り回る暴走族の中に女の子たちが混じっていて、ハコ乗りしている美少女に目を奪われ、強烈に印象に残りました」

 女暴走族“レディース”をメインで扱った月刊のヤンキー誌『ティーンズロード』(以下、TR)初代編集長の比嘉健二氏は、1989年創刊のきっかけをそう語る。

 暴走族が全盛だった1980年代から1990年代、『ヤングオート』や『チャンプロード』などのヤンキー誌は、どれも10万部近く売れていた。

「TRはレディースに絞って独自性を打ち出したのですが、このコンセプトは絶対に当たると確信していました」(比嘉氏・以下同)

 その狙いはずばり的中した。

 ピンクや紫など派手な特攻服を着た少女たちが表紙を飾るTRは大ヒットし、3年後の1992年8月号で約18万部にまで部数を伸ばした。

 誌面では全国各地のレディースと単車を紹介し、読者からの悩みにレディース総長が答える相談コーナーも作った。しかし、取材相手は暴走族だ。トラブルは起きなかったのか。

「撮影していると警察がやってくるのが常で、福島ではパトカー6台に取り囲まれた。そのときは暴走族のメンバーが、『市内に7台しかパトカーがないのに、何か事件が起きたらどうするんだ』と怒鳴り、警官が『それもそうだ』と帰っていった(笑)」

 その場で事件が起きたわけでなければ、警察とも互いに対話で落とし所を見つけられた時代だった。

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