栃木のレディース暴走族「貴族院・女族」の2代目総長だった伝説のレディースかおりさん(左)と『ティーンズロード』初代編集長の比嘉健二氏
10代と正面から向き合った
表紙やグラビアは派手だったが、活版ページは10代の問題を扱ったドキュメンタリーや読者からの投稿などで構成した。「ストップ・ザ・シンナー」のキャンペーンも何度か展開した。
「創刊当初に取材した暴走族の少年が事故で亡くなり、その仲間から『棺桶にTRを入れていいですか?』と電話がかかってきた。この雑誌は生半可な気持ちでは作れないと、身が引き締まりました」
それゆえにTRは真面目な誌面で構成され、逆にそこが読者から支持されたともいう。
「『TRは投稿誌』とまでいわれるほど、投稿で埋め尽くされていました。編集部の留守電をホット・ラインとして開放し、読者からのメッセージを誌面に載せた。読者のほとんどが実は非ヤンキーで、10代の少年少女が悩みや意見を吐露する場になっていました」
不器用で、社会にうまく適応できない子どもたちにとって、特攻服の少女たちは閉塞感を打ち破るヒロインであり、TRは自分たちの声を聞いてくれるメディアだった。
TRに載ったレディース総長はアイドル並みの人気を誇ったが、チーマーやコギャルなど新しいムーブメントが起きるとレディースの勢力は年々縮小し、TRの歴史も1998年に幕を閉じた。
今年7月、比嘉氏は「はみ出した少女たち」の実像を振り返る『特攻服少女と1825日』(第29回小学館ノンフィクション大賞受賞作)を上梓した。