かつての特攻服少女たちの今
かつての特攻服少女たちは今どうしているのか。
「すでに40代、50代になっていて、スナックを経営している子が多い。結婚して主婦になった子もいるし、NPO法人を立ち上げて少年院を出た少年少女を支援している子もいる。かおりさんのように波瀾万丈の人生を送る人もいて、さまざまです」
栃木のレディース暴走族「貴族院・女族」の2代目総長だった伝説のレディース、かおりさんに、当時の思い出を聞いた。
「地元ではわりと有名だったんですが、TRに出たら全国に名を知られて、『かおりはヤバイ』ってなって、誰もケンカ売ってこなくなりましたね。周りが『姐さん』って呼び出して、男も寄りつかなくなった(笑)。比嘉さんとはTRの取材で知り合い、不思議と現在まで親交が続いています。私にとっては信頼できるお父さんみたいな存在です。何か頼まれたら、二つ返事で『やる』と答えますね」
レディースには複雑な家庭環境に育った子が多かったという。社会からはみ出しながら、かろうじて踏みとどまり、懸命にもがいてみつけた自分の居場所がレディースだったのだ。そしてTRはそんな悩める少年少女と向き合った雑誌だった。
【プロフィール】
かおり/1974年、台湾生まれ、栃木県育ち。16歳で「貴族院・女族」を結成。TRに掲載されたことがきっかけで美女レディースとして全国に名を轟かせた。現在は都内のパソコン教室でインストラクターを務める。半生を綴った自伝『「いつ死んでもいい」本気で思ってた…』(大洋図書)を今月上梓。
取材・文/清水典之
※週刊ポスト2023年8月4日号