女性が摂るべき栄養素一覧
健康のためには、三度の食事で均等にたんぱく質を摂ることが重要。一説では、日本人は特に「朝食」でのたんぱく質が不足しやすいので、朝食にちくわやゆで卵などをプラスするのがおすすめだ。
近年、水や牛乳などに溶かして効率的に摂取できる「プロテインパウダー」やドリンクがブームだが、「のむだけで筋肉がムキムキになる」というのも「のめばやせられる」というのも、どちらも極端な勘違いだ。
「たんぱく質は、筋肉を動かす際のエネルギーになり、筋肉だけでなく肌や髪、内臓など、体をつくる材料になるもの。ただプロテインをのんでも、体を動かしてエネルギーとしてきちんと使用されなければ、筋肉がつくことも、やせることもありません」(望月さん)
サプリで摂っても効かない栄養がある
「のむだけで健康になる」「やせる」という文言に注意すべきなのはサプリメントも一緒。特に“脂肪と糖をカットする”とうたうサプリメントは、食べすぎてしまったときの味方にはなってくれるものの、デメリットも大きい。
「摂取した脂肪をカットするということは、脂溶性のビタミンAやE、Dなどもカットしてしまうということ。そのため、常用するとビタミン不足による肌荒れなどのリスクも心配です」(伊達さん)
ビタミンAやEは抗酸化作用が高く、老化防止や免疫力の維持などに不可欠な栄養素であり、サプリメントも多く販売されている。しかし望月さんは、食品から摂取することをすすめる。
「ビタミンAは、緑黄色野菜に豊富なβカロテンが体内で変化したもの。食品から摂ると必要に応じてビタミンAに変化しますが、サプリでのむと摂りすぎてしまい、頭痛や脱毛、骨が弱くなるなどの中毒反応が起きる可能性があります。
ビタミンEの虚血性心疾患予防作用は、食品で摂れば効果が期待できますが、サプリで摂っても同じ効果があるかどうかは、科学的に証明されていないものもあります。ビタミンDも、健康な人がサプリで摂取しても、骨への影響がほとんどないことがわかっています」(望月さん・以下同)
ひざ痛にいいといわれるグルコサミンとコンドロイチンも、サプリで摂取した場合の効果は賛否両論。美肌に導くとされるコラーゲンに至っては、サプリでも食品でも、不明なことが多い。
「コラーゲンは分子が大きく、口から摂っても肌には届きにくい。ふかひれなどを食べた翌日に肌がぷるぷるになった感じがするのは、おそらくコラーゲンではなく、脂質によって保湿されている可能性が高いのです」
静風荘病院特別顧問で日本における女性外来の普及に力を入れてきた天野惠子さんは、「女性の体でもっとも大切なのは、血液と骨と筋肉の3本柱」だと語る。
「いくつになっても健康でいるためには、間違った情報に振り回されず、たんぱく質をしっかり食べて、適度な運動をして、よく眠ることに尽きます」(天野さん)
健康は一日にしてならず。正しい知識を持つことが、10年後の健康をつくるのだ。
※女性セブン2023年8月10日号